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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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ハイカラの源流 KR&AC150年(4)日本人理事長 2020/09/13

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2006年3月に磯上公園グラウンドで開催されたラグビーのインターポートマッチ(KR&AC提供)

 外国人居留地で生まれた「神戸レガッタ・アンド・アスレチック・クラブ(KR&AC)」のクラブハウスが、東遊園地(神戸市中央区加納町6)から磯上公園(同区八幡通2)に移転したのは1962(昭和37)年。半世紀余りを経て、「最も変化に富んだ時代だと思う」と、昨年から理事長を務める三木谷研一さん(58)は話す。150年の歴史の中で、初めての日本人トップだ。

 学生時代にはテニスをしていた三木谷さん。外国人らの社交場「神戸倶楽部(くらぶ)」(同区北野町4)に所属していた父親の勧めで、2006年頃にKR&ACに入った。

 ただ当時はまだ、日本人は準会員という位置付け。14年に一般社団法人化されて門戸が広がると、理事に就いた。

 伝統あるKR&ACも、会員になる外国人が減り、活動の停滞は否めなくなっていた。目指すのは、より地域に開かれた組織だ。

 力を入れるのが、会員以外でも利用できるレストラン。シェフを招いて、メニューを充実させた。「考案した特製ビーフカレーは、会社員のランチに評判がいい。スポーツのほかで知名度を上げることも、必要な手段」と強調する。

 入会パンフレットの準備も進める。「外国人のコミュニティーで成り立ってきたので、外部から人を呼び込むツールがなかった」

 副会長を務めるサッカーJリーグ1部(J1)ヴィッセル神戸の外国人選手を招き、クラブハウスのバーを会員向けのコワーキングスペースとして活用しては-。

 最盛期の1割の約80人まで減った会員の新規開拓へ、魅力向上の案を練る。「スポーツだけでなく、女性や高齢者、ビジネスマンにも利用しやすくしていきたい」

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一般にも開放しているレストラン=神戸市中央区八幡通2

    ◇   ◇

 転換期を迎えた、KR&AC。その歴史を長年研究してきた神戸外国人居留地研究会理事の高木応光さん(74)は「これほど伝統のある外国人スポーツクラブは、関西では神戸にしかない」と、存続の意義を強く訴える。

 期待するのは、かつての芝生のグラウンドの復活だ。「欧米人にとって、ラグビーやサッカーは芝生でのプレーが当たり前。芝生のグラウンドがあれば外国人が集まり、それに伴い日本人も集まる」

 チームが復活し、途絶えているインターポートマッチ(港対抗戦)が再開されればと夢を描く。

 KR&AC元会長のセティー・ダランビア・シンさん(59)は「自分の代にもできることはあった」と振り返り、変化を好意的に受け止める。「ここは青春そのもの。経営手腕で何とか残してほしい」

 港都らしい、新たな国際交流の場を次代に。創立記念日の23日、東遊園地にある創立者シムの碑のそばに、オリーブが植えられる。=おわり=(西竹唯太朗)

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フラワーロード西側の東遊園地から磯上公園(写真右端)に移転したKRAC。移転当時の磯上公園グラウンドには、青々とした芝生が敷かれていた(高木応光さん提供)

 KR&ACは150周年事業の記念誌発行や老朽化したクラブハウスの改修について、神戸新聞グループのクラウドファンディングサイト「エールファンド」を活用しています。「150年記念誌+クラブハウスレストランでの特製カレー食事券」(5千円)や、ヴィッセル神戸スター選手関連の品の購入が支援となります。詳細はエールファンドのサイトで。