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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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神戸市立博物館のジオラマ 鳥の視点で精巧に再現 2020/12/13

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昭和初期の旧居留地を再現したジオラマ=神戸市立博物館(撮影・斎藤雅志)

 その整然とした街並みが、「東洋一」と賞された神戸の外国人居留地。1899(明治32)年の返還後も、西洋文化の窓口として発展した往時の姿を鳥の視点で楽しめるのが、神戸市立博物館(中央区京町)に常設されているジオラマだ。200分の1のスケールで建築物が精巧に再現され、通りには行き交う人の姿も。まち歩きの前に訪れてみてはいかが?

 ジオラマは「異人館博士」と呼ばれ、今年2月に93歳で亡くなった坂本勝比古(かつひこ)さんの設計。明治中期と昭和初期の2種類がある。昨年11月のリニューアルオープンに伴い、「より見やすく、より目立つように」(同館)と、1階の「神戸の歴史展示室」に設置。同室は無料開放されているだけに、気軽に立ち寄れるのがうれしい。

 タッチパネルを使い、ジオラマの中に入り込める機能も新たに導入。画面を操作して通りを進み角を曲がったり、視点を上下左右に動かしたりと自由自在だ。

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旧横浜正金銀行神戸支店前には、人の姿や人力車も。往時の風景がしのばれる=神戸市立博物館(撮影・斎藤雅志)

 昭和初期のジオラマを歩いてみよう。

 南北8本、東西5本の碁盤の目状に街路が走る。幅広なメインストリートは京町筋。半円柱が正面を飾る古典主義様式の建物に目が吸い寄せられる。まさに、この博物館。1935年の完成時は、貿易金融を主業務とした横浜正金銀行の神戸支店だった。

 浜手に向かうと、ミナトに面した海岸通にも、なじみのある近代建築が並んでいる。

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大丸神戸店方面から望む旧居留地の建築群=神戸市立博物館(撮影・斎藤雅志)

 重厚な外観のチャータード銀行神戸支店(38年、現チャータードビル)に、アールデコ風の塔屋が印象的な川崎汽船本社(39年、現神港ビルヂング)。優雅なたたずまいの大阪商船神戸支店(22年、現商船三井ビルディング)…。

 幾何学的な装飾の三井物産神戸支店(18年、現海岸ビル)や、ランドマークの大丸神戸店(27年)も、阪神・淡路大震災で被災する前の姿を見せている。

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かつての神戸水上警察署庁舎。建て替え後、2013年にポートアイランドへ移転した=神戸市立博物館(撮影・斎藤雅志)

 展示室の壁に次々と投影される居留地の写真を見ると、木造やれんが造りが鉄筋コンクリート造りとなり、中高層建築が増えていく様子がよく分かる。

 「鑑賞後は実際に旧居留地を歩いて、今も昔も変わらない地割りを確かめるのも面白いです」と学芸員の水嶋彩乃さん。

 鳥の目から虫の目へ。おしゃれな街を見る目も変わってくる。(竹本拓也)

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 古くて新しい街・旧居留地の遠近(おちこち)を、あちらこちらと訪ねます。