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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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旧居留地のメインストリート ビルの壁の突起物は 2020/12/15

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ホテルヴィアマーレ神戸の「仲町通」のプレートの上にある、三つのアンカー取り付け箇所=神戸市中央区京町

 ミナトの師走の風物詩となって久しい、神戸ルミナリエ。それが今冬、新型コロナウイルス感染症の影響で、初めて中止となった。

 いつもなら、ここに荘厳な光のアーチが立っていたはずなのに…。

 少し感傷的な気持ちで、旧居留地のメインストリート・仲町通を歩いていると、あちこちのビルの壁に、妙な突起物があるのに気付いた。それもだいたい2階のあたり、ほぼ同じ高さだ。

 実はこれ、神戸・旧居留地がルミナリエに協力している証しなのだという。

 ルミナリエは、阪神・淡路大震災の犠牲者の鎮魂や記憶の継承を目的に、1995年から毎年12月に開催。東遊園地へ続く仲町通には、人々の心にぬくもりを与える「光の彫刻」が現れる。

 ルミナリエの組織委員会事務局・神戸観光局によると、それを支えているのがビルの壁にある物体だ。

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ワイヤで固定されたルミナリエの「光の彫刻」=2018年(ホテルヴィアマーレ神戸提供)

 連続するアーチなどの作品を安定させるには、柱に掛けたワイヤを結わえ付けるアンカーが必要。そのため、仲町通に面したビル13棟の壁に、アンカーを取り付けるための穴が設けられた。

 現在その数、計84カ所。突起物の正体は、穴を普段ふさいでいる工具で、建物の所有者や管理者、地元の理解を得ながら、整備を進めてきたという。

 京町筋と交わる北西角の「ホテルヴィアマーレ神戸」も、その一つ。97年に完成した建物で、仲町通と京町筋沿いの壁にアンカーの設置箇所がある。

 ルミナリエを手掛けるイタリア人職人の定宿でもあり、高浜義英副支配人(37)は「例年なら11月ごろから設営が始まるので、今年は少しさみしかった。ルミナリエには震災を風化させないという目的があるので、大切にしていきたい」と話す。

 来年はきっと、光の回廊が復活することを祈って。(上杉順子)