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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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39歳で亡くなった「カリスマ読モ」小川さんのブランド 「カワイイ」で幸せ届ける 2020/12/17

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小川淳子さん(チェスティ提供)

 淡い色合いで小鳥や草花が描かれた壁紙。大きな鳥かごやソファが置かれた店内には、色や柄、デザインで絶妙なかわいらしさを主張する洋服や小物が並ぶ。旧居留地でも市役所に近い、フォーマルな雰囲気のエリアに広がる、多幸感にあふれた空間。デパートの出張販売や直販サイトを通し、全国にファンを持つアパレルブランド「チェスティ」の、唯一の実店舗だ。

 創業者は神戸で生まれ育った小川淳子さん。神戸女学院大生だった2000年前後、女性ファッション誌「JJ」のカリスマ読者モデルとして絶大な人気を誇った。大学卒業後、一般企業などを経て、03年に最初に店を構えたのはトアロードだった。

 「あの淳ちゃんのブランドだって」。花柄とボーダーなど意外な組み合わせやセンスの良い小物遣い、上品なライフスタイルで、同年代の女性の憧れの的だった小川さん。一緒に働きたいと、販売アルバイトの募集には多くの女子大生が集まった。

 広報の高野未有さん(35)と香山梨沙さん(35)、店舗スタッフの北本真梨奈さん(34)も、その中にいた。

 「『みんな、幸せ?』が淳ちゃんの口癖。幸せを届けるために自分たちも幸せでいようね、と。尊敬し、ついていこうと夢中でした」と3人。「毎日が学園祭」のような雰囲気の中、一丸となって店を創り上げていったという。

 08年には小川さんがとりわけ愛したエリア、旧居留地の現在地に店を拡大移転した。

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チェスティの歩みを語る(左から)高野未有さん、香山梨沙さん、北本真梨奈さん=神戸市中央区江戸町

 タウン誌「月刊神戸っ子」の18年の記事で、小川さんは「旧居留地にショップをオープンするのが夢だった」「お洋服を提案し、お客さまに笑顔で神戸の街を歩いていただく。それが神戸らしい街並みにつながれば、とてもうれしい」と語っている。

 だが、小川さんは昨年末、病気のため39歳の若さで亡くなった。今は3人をはじめ、学生時代から「淳ちゃん」を支えたスタッフが思いを受け継ぎ、大切な場所を守り続けている。

 近年はオリジナルの食器でサービスするティールームを併設。食や生活空間のプロデュースに手を広げる。コロナ禍で迎える年末年始を前に、リボンやカードが選べるギフトボックス、自宅で楽しめるアフタヌーンティーセットなどを新たに売り出し始めた。

 旧居留地発の「カワイイ」「エレガント」は、創業者の亡き後も輝きを増している。

 チェスティTEL078・392・2370(当面は火、水曜休み)

(上杉順子)