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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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思い出の地で担々麺を オーナーは元美容師 2020/12/22

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居留地の雰囲気にマッチしたアルファベットの看板=神戸市中央区東町

 こんな所にラーメン店? 神戸市中央区の東遊園地にほど近い旧居留地の東エリア、平日のお昼時にひときわにぎわいをみせるのが、担々麺専門店「TAOMEN(タオメン)」だ。

 客の7割はビジネスマン。激辛好きからマイルド派まで「麺党」の心をつかんで離さない。旧居留地への憧れからこの場所へ店を出したというオーナー柏木博史さん(62)は「何年たってもここで選ばれる店でありたい」と話す。

 神戸・栄町で長年美容師として活躍していた柏木さん。店舗の運営会社が飲食部門を立ち上げたのをきっかけに、自身も興味が芽生え、はさみを置いた。

 独立後の2001年、当時は数少なかった担々麺の専門店を、三宮の幹線道路沿いにオープン。カウンター8席のささやかな店だったが、味が口コミで評判となり、人気を広げていった。

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「辛さとおいしさの両立」を目指し、店を切り盛りする柏木博史さん=神戸市中央区東町

 「次は上品な街並みのビジネス街で勝負したかった」と柏木さん。旧居留地で物件を探し、今の場所を見つけた。08年5月に移転すると、客層はスーツ姿の男女が中心に。惜しむらくは、ショッピングや観光で訪れる人の目に付きにくいこと。「本当はもっと西のエリアがよかった。通りを1本西に行くだけで、人出が全然違うから」と悔しさものぞかせる。

 兵庫県加古川出身の自身にとっても「ここじゃないと買えない古着や靴がいっぱいあって、大人な街だった」。夢と野心をかけて構えた、旧居留地で唯一のラーメン店は、13年目に入った。

 辛味は5段階で選ぶことができ、一番人気は「2辛」の辛担々麺(800円)。野菜エキスと鶏だしを合わせたスープは、濃厚に見えて意外とあっさり。「辛くてヘルシー」と好評だ。名古屋から毎日直送される特注の細縮れ麺は、時間がたっても伸びにくいという。舌がピリッとしびれるような辛さを求める人には麻辣(マーラー)担々麺(890円)がオススメだ。

 16年6月には店を広げ、約40席に。今年は、コロナ禍でビジネス街から人の姿が消える苦境に直面したが、ランチ向けのセットの「ミニ丼」の種類を増やすなどメニューに工夫を凝らす。

 「辛いだけでなく、『辛くておいしい』と言われる担々麺を発信したい」と柏木さんの情熱は衰えない。

 TAOMENTEL078・331・1880(日曜定休)

(竹本拓也)