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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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世界のチーズずらり100種 オフィスビル内に“隠れ家” 2020/12/25

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チーズ専門店を営む神澤美幸さん(右)と小笠原夕紀さん=神戸市中央区京町

 旧居留地・京町筋(神戸市中央区)に面した一見、普通のオフィスビル。エレベーターホールを抜け、集合ポストのさらに奥にある片開きのドアの向こうが、何かキラキラして見える。中に入るとそこには、さまざまなチーズが並ぶショーケース。ナチュラルチーズの専門店「フロマジュリーミュウ」の意外な立地は、宝の山を見つけた気分にさせられる。(上杉順子)

 この地に店を構えて11年。「旧居留地にこだわったわけではないんですが、とても良い場所でした」と、オーナー神澤美幸さん(59)は語る。

 大丸と阪急という二大百貨店の中間地点にあり、昼下がりには年配の夫婦がのんびり好みの品を選んでいく。オフィス街だけに、仕事帰りに立ち寄るビジネスマンも多い。コロナ禍で「家飲み」が増えたためか、店のサイトを見て訪れる人も目立つという。

 神澤さんは、ワインを入り口にチーズの魅力に目覚め、専門店で修業した後、同僚の小笠原夕紀さん(37)を誘って独立した。

 「フランスでは一つの村に一つのチーズがあると言われる」(小笠原さん)くらい、欧州ではチーズの種類が豊富だ。ウシのほかにも、ヤギやヒツジ、水牛といろんな乳が用いられ、味も個性的。店には、本場のフランスやイタリアから取り寄せた品が常時、100種類前後そろう。

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さまざまな種類のチーズが並ぶショーケース=神戸市中央区京町

 これはピレネー山脈の羊乳製の保存食、これは青カビがびっしりで大理石そっくり-と、愛情あふれる説明に心をつかまれる。地元産にも力を入れ、弓削(ゆげ)牧場(神戸市北区)と日向(ひゅうが)牧場(兵庫県三田市)の製品を取り扱っている。

 近年は日本酒のあてにする人も多く、中にはウニやめんたいこ、しょうゆのような風味のものもあるというから、驚かされる。もちろん左党だけでなく、朝食やデザート用にと、いろんな要望に応えてくれるのも人気の理由だ。

 「お客さまの好みや目的を丁寧にうかがい、ぴったりのチーズを紹介する接客に重きを置いています」と神澤さん。

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隠れ家感たっぷりの出入り口=神戸市中央区京町

 今日も扉の奥で、その人だけの“宝探し”に寄り添う。

 午前11時~午後7時(日曜は同6時まで)。月曜定休(28日は営業、年末年始は要問い合わせ)。同店TEL078・321・5501