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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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清流への道(下)町に溶け込む恵みの川 2019/01/30

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 傾斜のきつい六甲山系の川には六甲砂防事務所がつくった545基の砂防ダムがある。うち住吉川水系は65基。国の登録有形文化財「五助堰堤」のような大規模ダムもあり、高さ30メートルから流れ落ちる光景は圧巻だ。しかし、急流はひとたび牙をむくと大災害を引き起こす。1938(昭和13)年の阪神大水害がそう。砂防ダムは悲しい水害を起こさないための砦だ。

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 遊歩道「清流の道」を歩いていて川の下を電車が走る“珍光景”に出合った。神戸市東灘区役所北側の「住吉川鉄道トンネル」。周囲の土地より川底が高い「天井川」で、鉄道が開通した1874年当時の汽車では、橋を渡る坂を上る馬力が足りなかった。このため、川底トンネルを掘ったという。JR神戸線で現存するのは住吉川と芦屋川の2基だけという。

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 六甲ライナーが流路に沿って走り、谷崎潤一郎の旧邸「倚松庵」を西に見て歩を進める。阪神電鉄魚崎駅付近では、水温が20度を下回る晩秋から初冬にかけ、「さびアユ」が川底に群れ、時折、小石に体をこすりつけ、卵を産むという。春から夏にかけてはアユの遡上を見ることができる。2011~16年には遡上にネックになっていた同駅付近の堰(落差約80センチ)などに魚道が整備された。現在は12カ所になり、工事前の千匹から1万匹超に増えた。

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 河口付近で散歩する人や汗を流すランナーとすれ違う。水源地付近から南下し、たどった約8キロの旅。地域に愛され、そして溶け込む、心安らぐ「都市の清流」であることをあらためて感じた。(村上晃宏)

【魚道】徳島大学の浜野龍夫教授と山口県が開発した魚道「水辺の小わざ」。堰の下や流路に大小の石をまばらに並べてコンクリートで固める。石の間に多くの小さなプールを作ることで、魚が段差を越える助走スペースとなり、楽に遡上できる。