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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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岡本商店街の名店探し(9)理想のカウンターで料理提供 日本料理かわもと 2019/02/25

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 人は岡本(神戸市東灘区)を石畳のまちと呼ぶ。どのくらい石畳が敷き詰められているのか? 調べてみると…。桜御影石でできた厚さ10センチの石畳が何と7550平方メートルにわたって広がっていた。岡本坂、ゲート坂、キャンパス通り、フェスティバル通りの4本の目抜き通りを中心に、281店が軒を連ねる岡本商店街。その加盟店数が「市内最多」と聞いて、これまた驚いた。普通に歩いてもおもしろくない。目抜き通りから奥まった路地や目立ちにくいビルの上階、地下の名店を見つけてみよう。名付けて「岡本めぐりウエ・シタ・ヨコ」。同商店街のアイドル「石だたみボーイズ」のメンバー8人のナビゲートで、個性豊かな店主たちに話を聞いた。

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 石畳、スイーツやカフェ、バーと、何かと「洋」のイメージが強い岡本商店街に、昨年5月、本格日本料理店が開店した。ゲート坂の西、ビルの地下1階にある「日本料理 かわもと」(東灘区岡本1)。入り口の戸を引くと、横幅6・15メートルの国産イチョウのカウンターが存在感を放つ。

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 「カウンター席の店を出すのが夢だった」と店主の川本徹也さん(58)。約40年、日本料理の世界で活躍してきた経験からカウンターの長さの理想は6・15メートルとはじき出し、この条件を満たす物件を探した。岡本の親戚宅を訪ね、その足でたまたま訪れた空き店舗で部屋を採寸すると、長さが条件にぴったりとはまり、岡本で店を出すことを決めた。

 料理人を志したのは小学校低学年のとき。卵やキャベツを入れて作ったインスタントラーメンを幼なじみが「おいしい」と喜んでくれたのがうれしかった。辻調理師専門学校の講師として約30年勤務。その間、出向でケニア、北京、ニューヨークなどの一流ホテルや日本大使館公邸などで腕を磨いた。その土地の人がどんな日本料理を欲しているのか観察するのが、癖になった。その後、倉吉北高校(鳥取県)調理科の立ち上げにも尽力した。

 「『御馳走』の『馳走』は、おいしい物を集め回ること」

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 この持論に基づき、みそは大阪、茶は京都、日本酒は灘の地酒など、自ら各地に赴いて食材を集める。従業員は自身も含めて2人。14席のカウンターが全て埋まると、「運動会状態になる」と笑う。

 それでも、「おいしい」の一言が聞こえると、口角が上がる。開店から間もなく1年。岡本の人たちがどんな味を好むのか、日々探りながら調理場に立つ。(真鍋 愛)