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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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岡本商店街の名店探し(2)「会いたい街」の店を譲り受け マザーミーツ喫茶店 2019/02/17

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 人は岡本(神戸市東灘区)を石畳のまちと呼ぶ。どのくらい石畳が敷き詰められているのか? 調べてみると…。桜御影石でできた厚さ10センチの石畳が何と7550平方メートルにわたって広がっていた。岡本坂、ゲート坂、キャンパス通り、フェスティバル通りの4本の目抜き通りを中心に、281店が軒を連ねる岡本商店街。その加盟店数が「市内最多」と聞いて、これまた驚いた。普通に歩いてもおもしろくない。目抜き通りから奥まった路地や目立ちにくいビルの上階、地下の名店を見つけてみよう。名付けて「岡本めぐりウエ・シタ・ヨコ」。同商店街のアイドル「石だたみボーイズ」のメンバー8人のナビゲートで、個性豊かな店主たちに話を聞いた。(真鍋 愛)

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 阪急岡本駅を北へ歩くと、細い路地と住宅街が広がる。「マザーミーツ喫茶店」は、築約50年の一軒家を改装したシェアショップ「岡本2LDKアパートメント」の1階にある。

 イチオシは注文を受けてから生地を作るホットケーキ。バターとシロップが全体に行き渡るよう、はやりの重ね型にせず、直径14センチのフライパンでまん丸の1枚に焼く。完成までの約20分、客は店内の古着や雑貨を見て過ごす。店主の浅見瞳さん(34)が、布やボタンなどの装飾にこだわって仕入れた一点物ばかりだ。

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 甲南大に進学し、3年生までは駅から大学をただ往復するだけで、商店街の店にはほとんど立ち寄らなかった。魅了されたのは、4年生になってから。専門性を持って商売をする店主たちは、多種多様な知識を教えてくれた。岡本はいつの間にか、ただの「通学路」から、「誰かに会いに行くまち」に変わっていた。

 大学を卒業し、大阪のラジオ局に就職したが、岡本で部屋を借りて電車通勤した。転職、結婚、出産を経ても、岡本には常に、誰かしら会いたい人がいた。

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 夫の転勤で東京にいた時、懇意にしていた岡本商店街のカフェ店主から「閉店して高知に引っ越す」と連絡を受けた。その時、「店を出してみたら。お店って、何でもできるよ」。こう背中を押されて、店舗を譲り受け、2016年3月に開店した。

 専門外の知識が必要な時などは周囲の店主たちを頼り、時にはその店主たちに頼られながら、店を営む。経営者として経験を積みつつ、「まちづくりに携わるイベントをやりたい」という夢も日々膨らむ。

 「この人に会いたい」「この店に行きたい」。かつての自分の様に、目的を持って岡本を訪れる人が増えれば、と願う。