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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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岡本商店街の名店探し(5)自分に合った下着を 洋品店「La・pianta」 2019/02/21

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 人は岡本(神戸市東灘区)を石畳のまちと呼ぶ。どのくらい石畳が敷き詰められているのか? 調べてみると…。桜御影石でできた厚さ10センチの石畳が何と7550平方メートルにわたって広がっていた。岡本坂、ゲート坂、キャンパス通り、フェスティバル通りの4本の目抜き通りを中心に、281店が軒を連ねる岡本商店街。その加盟店数が「市内最多」と聞いて、これまた驚いた。普通に歩いてもおもしろくない。目抜き通りから奥まった路地や目立ちにくいビルの上階、地下の名店を見つけてみよう。名付けて「岡本めぐりウエ・シタ・ヨコ」。同商店街のアイドル「石だたみボーイズ」のメンバー8人のナビゲートで、個性豊かな店主たちに話を聞いた。

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 「岡本にはタカラジェンヌが服の下にまとう『胴着』なるものを特注する店がある」。同僚から聞いた話を確かめようと、JR摂津本山駅東の洋品店「La・pianta(ラ・ピアンタ)」を訪ねた。

 店に入ると、赤、ピンク、ベージュなど色とりどりの女性用下着が目に飛び込む。言葉にできない緊張に、心の中で「取材のため」と3回唱え平静を装う。そうしているとミシン台の奥から店主の日野生子さん(64)、創業者で、下着や服の開発を行う四宮由幹さん(65)、その補佐役の杉谷治美さん(63)が現れた。

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 それぞれ島根、大阪、神奈川の出身で、神戸の大手アパレルメーカーで出会った。四宮さんが服に込めた「衣の原点は体を守ること。おしゃれの基本は美しいこと」の思いに賛同して約30年前に独立。阪神・淡路大震災の年に岡本に店を開いた。

 「食事や運動に気を遣うように直接肌に身につける下着もこだわってほしい」と日野さん。杉谷さんは「お客さんの体に合わせて下着を仕立てるのが私たちの流儀」と続ける。同店では、依頼主の体格や姿勢を細やかに採寸し、体形に合わせた下着を提供する。「窮屈感が一切無い」とリピーターも多く、親子3代にわたって利用する家族もいるという。

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 ここで本題へ。「宝塚歌劇団の人が利用すると聞きました」。「男役の方の依頼があります」と四宮さんはあっさりと明かした。

 男役とはいえ、本来は女性。凹凸のある体をいかに男性的に見せるかが勝負所で、胸の強調を抑えるためにサラシを巻く人もいるのだとか。「それって、体には絶対良くないでしょ。胸の締め付けで十分な声が出せないし、激しい動きや踊りにも支障が出る」という四宮さんの力説に納得する。ここまで聞かされれば実物が見たくなり、お願いしてみると「夢を見せてくれる人たちなので、そこはナイショ」と笑顔で断られた。(末吉佳希)