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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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急なS字なぜできた? 阪急神戸線「村山カーブ」誕生秘話 2019/02/03

 住吉川流域を紹介する「東灘マンスリー 甲南山河」。まちを取材していると、ふと気になる光景に出くわすことがある。その背景を探ると「えっ!」という理由や歴史が隠されている。今回は地元ではおなじみの阪急電鉄の不思議からひもとこう。

 神戸市東灘区の住宅街を通る阪急神戸線。岡本-御影駅間で、地元住民や鉄道ファンから「村山カーブ」と呼ばれるS字カーブがある。地図では緩い曲線に見えるが、現場に立つとかなりの急カーブ。誕生の裏には、地元住民による反対運動と苦心の末の打開策があった。

 場所は、住吉中学校(住吉山手1)南から弓弦羽神社(御影郡家2)北までの辺り。踏切から見ると、木々の向こうから現れた電車が「キキ」と、車輪をきしませながら民家沿いをうねり、御影駅方面へと消える。

 阪急は、箕面有馬電気軌道だった1916(大正5)年、神戸線に着工。阪神間をできる限り直線で結ぼうと、住吉川以西は邸宅街のど真ん中を突っ切る予定だった。だが、計画を知った住民らが地下化や北側への敷設を求め反対運動を展開。朝日新聞創業者の村山龍平ら関西経済界の重鎮も加わり、阪急創業者の小林一三に直談判するまでの騒ぎになった。

 最終的には、地下化は難工事のため白紙になり、村山の旧邸宅だった香雪美術館の北を迂回することで決着。20年7月に開通し、S字の「村山カーブ」が誕生した。

 ただ、小林は後の著書「逸翁自叙伝」で、S字カーブに変更したことを「意気地がなかったであらうと、愚痴ざるを得ない(原文のまま)」と述懐し、無念さをにじませた。(村上晃宏)