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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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数々の大富豪伝説残る「旧久原邸」 敷地は甲子園球場2・5個分 2019/02/06

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 神戸市の住吉川東岸。西欧の老舗ホテルのような重厚な外観が目を引く。1991~96年に建設されたマンション「オーキッドコート」。かつてここには、日立製作所の創業者で、久原財閥の久原房之助の邸宅があった。

 マンションの敷地面積は3万5千平方メートルもあるが、旧久原邸の一部にすぎない。旧久原邸とは、どれほどの大きさだったのか。

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 かつてこの地に住んでいたダイワボウホールディングス最高顧問の武藤治太さん(81)は「今のJR神戸線付近から山手幹線までの3万坪(9万9千平方メートル)超の敷地で、飛び抜けたスケールだった」と振り返る。実に甲子園球場2・5個分に当たる広さだ。

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 祖父が旧久原邸の仕入れの元締めをしており、父親が久原房之助の息子と乳兄弟だったという高井史郎さん(82)=同市東灘区=が、祖父や父から聞いたという当時の話をしてくれた。

 「矢がすりの色違いの着物を着た身の回りの世話をする『上女中』と、炊事や掃除などをする『下女中』が大勢行き交っていた」

 「父は同世代の遊び相手として邸宅に招かれ、相撲をしていると女中から『負けてやってくれ』と頼まれることもあったらしい」

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 芦屋市立美術博物館には、和館を囲むだだっ広い日本庭園や、邸宅内に建設されたロシア風洋館などの写真が所蔵されている。

 ほかにも、六甲山からの冷風を送るために住吉川上流から直通トンネルを掘った▽巨大なゲージでクジャクやフラミンゴを飼育▽六甲山中腹にインドのタージマハルを模した邸宅「二楽荘」を購入した-など数々の大富豪伝説が残る。

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 その地に立つオーキッドコート。コンセプトは、山、海、川、緑など阪神間の要素を凝縮した現代の邸宅という。

 玄関を入るとフロントでコンシェルジュが待ち構える。4棟の建物と公園ほどの広さの庭園内には人工の小川が流れる。室内プールやフィットネスクラブ、ラウンジも完備され、すし店やゴルフショップも入る。

 “邸宅DNA”を継承するかのように存在感を放つオーキッドコート。南側の「久原門」のプレートや住吉川にかかる「久原橋」が当時の栄華を今に伝える。

(石川 翠)