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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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家族で空手道場、娘の死原点「地域の子、健やかに育てる」 2019/03/06

記事

 ガラス張りの建物1階から白い道着と防具に身を包んだ子どもたちの元気のいい声が響く。「押忍、ありがとうございました!」。

 国道2号線に面した空手道場「岡村道場 神戸東本部」(神戸市東灘区甲南町4)。4歳~中学生までの子ども約100人らが、相手の体に当てた手、足技の数などで勝敗を決める「実戦空手」の稽古に励む。

 教えるのは村上雅彦師範(50)と長男の祐太師範(23)。妻の有美さん(51)も指導をサポートする。家族で営む空手道場。その出発点は長女の死だった。

 生まれつき脳性まひで、首を動かしたり、ご飯を食べたりするにも介助が必要だった長女。3歳を目前に眠るように息を引き取ったという。

 「娘の存在がハンディキャップを考える機会になった」と村上さん。「心身ともに健やかで、努力を惜しまない子どもを育てよう」と道場を開く決心をした。

 かつて幼稚園教諭だった有美さんは「仕事で送り迎えができない」という親の声に応え、稽古がある平日の放課後に、児童や園児らの一時預かりを始めた。春休みや冬休みなどの長期休暇には、忘年会や遠足なども行い、子ども約20人が集まることもあるという。

 息子を通わせる女性(48)=東灘区=は「道場に通い出してから引き締まった顔をするようになった」。姉弟を通わせる女性(36)=同=は「道場がガラス張りだから、迎えに来る度に成長を見られてうれしい」と笑顔で話す。

 村上さんは「子どもの表情は、自分の指導方法を振り返る鏡。笑顔で来てくれる子どもたちのためにも、体の続く限り、教えていきたい」と力を込めた。(吉田みなみ)