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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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南米出身労働者集う食材店 祖国の味所狭しと 神戸・東灘 2019/03/26

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 大阪と神戸を結ぶ幹線道路・国道43号。深江交差点の歩道橋を降りた先のマンションにその店はあった。ペルーやブラジル出身者が集うという食材店「カーサ・デ・カルネ・ブラジリア」(神戸市東灘区深江南町4)。店内で、街角で、「ボン・ジア」「オブリガード」などポルトガル語が飛び交う。食品工場が集積するここ深江南地区は、工場で働く日系ブラジル人やペルー人が多く暮らす“南米タウン”だ。店主の竹本悦夫さん(69)は長年、この街を見続けてきた。(伊田雄馬)

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 多文化共生センターひょうごによると、ブラジル人が増え始めたのは1990年の入管難民法改正がきっかけ。日系人の入国が容易になったことで南米からの出稼ぎ入国者が増え、深江にもコミュニティーが形成されていったという。竹本さんの店の隣にもペルーレストランが連なり、異国情緒を漂わせている。

 大阪で肉店を経営していた竹本さんが、深江に店を出したのは98年。「店の前を通りかかったブラジル人に誘われたから。ちょうど1人でやりたかってん」とひょうひょうと語る。

 店には日本のスーパーで手に入りづらい調味料や食材が所狭しと並ぶ。スパイスが香り、冷蔵ケースには大きなブロックの肉やサラミ、ソーセージがずらり。豆と牛肉、豚肉を煮込んだブラジルの国民食「フェジョアーダ」は缶詰で販売する。

 「店を始めた頃は客が入りきらんと、店の前で待ってもらっていた」と竹本さん。しかし、ここ数年、ブラジル人は減り、代わってベトナム人などアジア系の住民が増えてきた。同センターによると、2002年12月に550人いた同区のブラジル人は、18年6月には168人に。減少理由としては、日本国籍の取得や工場移転に伴う転出などが挙げられるという。

 地球の反対側から来日し、工場での肉体労働に従事したブラジル人には愛着がある。「さっぱりしてええ人が多い」。外国人労働者の受け入れ拡大を目指し、4月から改正入管難民法が施行される。竹本さんは「外国人を『安い労働力』として扱う国にはならんとってほしい。人道的な政策を」と、深江の街角から願い続ける。