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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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駅にない「駅の売店」 阪神・淡路で駅舎移設も元の場所で営業 2019/04/01

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 阪神石屋川駅(神戸市東灘区)の改札口から車道を隔てた西側に、青色のテントの建物が見える。近づいてみると、店主が「ここ、駅の売店やねん」。なぜ、構内ではなく、こんなところに?

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 2代目の古宅知恵子さん(68)に聞くと、かつて売店は同駅の改札口を出てすぐの場所にあったという。しかし、1995年の阪神・淡路大震災で駅舎は倒壊。「店はそのままの場所で、新しい駅舎が道路の向かい側に建ったんよ」

 売店は知恵子さんの父音吉さんが59年に創業。阪神電車の運転士で、退職後に同駅で店を始めた。震災の日の朝も、母の和江さんが1人で店番をしており、駅舎や高架が崩れる様子を目の当たりにした。店自体は前年に建て替え工事をしたばかりで無事。「1ミリも動かなかったのよ」と知恵子さん。

 その後、新しくなった駅舎の構内に売店を出す話が出た。「でも、常連さんたちが『車で寄れんようになる』『構内は嫌や』って言うてね。断って、そのまま営業することにした」

 3年前に他界した和江さんは、最期まで店を心配していたという。採算は厳しく、1日に訪れる客は50人程度。「続けるか迷ったけど、両親の思いや、野球の話をしに来てくれる常連さんがいるからね。暇やけど、おしゃべりしてると退屈しないわ」

 店は今年、還暦を迎える。「私ももうちょっと頑張らないとあかんね」。(津田和納)