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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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最初の県庁は兵庫運河沿いに 平安時代から海運の拠点 2020/01/09

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 和田岬(神戸市兵庫区)かいわいの回遊をもう少し進めよう。明治に入り、貿易の拠点は神戸港に移ったが、商港としての源流は、平安時代に平清盛が修築した大輪田泊、そして、江戸時代に北前船の寄港地として栄えた兵庫津にある。風波が高く、船舶の運航に難があった和田岬を迂回するため、明治期につくられたのが兵庫運河だ。(千葉翔大、藤原 学)

 ■五つの運河と15の橋

 全長約6・5キロ、水面積は約33万7300平方メートルと国内最大規模を誇る同運河は、五つの運河(兵庫、新川、苅藻島、新湊川、兵庫運河支線)の総称だ。15もの橋がかかり、人、モノ、車、電車…が行き交う。

 冬の海風に吹かれながら、運河沿いの遊歩道を歩いていると「兵庫城跡 最初の兵庫県庁の地」と刻まれた碑を見つけた。戦国時代の織田家重臣、池田恒興が1581年に築いた兵庫城の天守閣があった場所とされる。1868年5月、兵庫県庁が置かれ、初代知事に伊藤博文が就任した。

 「もしかして、県名の由来になったのは…」

 県のホームページにはこう記される。「県名に『兵庫』と冠したのは、初代県庁などの役所がこの地にあったからと推測されます」

 ■弁天様もビックリ?

 平清盛が大輪田泊を手掛けた際、事業の無事完了と繁栄を願って広島・宮島から招いた弁天様が祭られる和田神社(兵庫区和田宮通3)。境内に並ぶ高さ約2メートルの朱色の鳥居に目が留まった。京都・伏見稲荷大社には遠く及ばないが、その数は21基に上る。

 「約40年前から商売繁盛を祈願する人らが建て始めました」と奥田雅人宮司。同神社はとぐろを巻いた白蛇が神の使いと信仰され、人々の願いを届けるとされる。全ての鳥居をくぐった先には、「祈願巳」と呼ばれる蛇を模した白色の陶器を納める「巳塚」がある。

 昨年2月に行われたヴィッセル神戸の必勝祈願祭には、元スペイン代表のイニエスタとビジャ、さらに元ドイツ代表のポドルスキの「ビッグ3」が顔をそろえた。

 「今年の元日の天皇杯を制したんですから、御利益があったのでは-」と奥田宮司。「弁天様もビッグ3が来るわ、初タイトル取るわで、さぞ、びっくりされているのでは」

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 ■輝く金色のスクリュー

 神功皇后が、三つの石を建てたことに由来する三石神社(同区和田宮通3)境内の一角には、金色に輝く「スクリュー」が置かれている。

 かつて神戸と淡路島を結ぶ高速艇に取り付けられていたものだという。同神社は、船などの運行を守るとされる「往来神」が祭られており、高速艇の製造会社の社員が、商売繁盛と海上の安全などを祈願するため、約30年前に奉納したという。しかし、明石海峡大橋の開通などが影響し、船の利用者は激減。高速艇は姿を消した。

 観光や故郷に帰る市民の足を支えた高速艇に携わった先人たちの記憶を、スクリューは伝えている。

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