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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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もう一度人が集まる場所に ギャラリーとバーに改装予定の老舗酒店 2020/01/26

記事

 御旅筋で最古参の一つが、1890年創業の長谷川酒店(神戸市兵庫区羽坂通3)だ。もともとは醤油と味噌の問屋を営み、戦後から現在の場所で酒店を開く。4代目店主の長谷川たか子さん(65)は、幼稚園の頃から看板娘だった。店にある立ち飲みスペースは、仕事終わりの客や近隣住民で常にあふれていた。

 「お客さんが『たかちゃん』と呼んで、いつもかわいがってくれてね。いろんな人が店に集まって、父と母に仕事や恋愛の相談をしていた」。

 しかし、そのにぎわいは阪神・淡路大震災後に消えた。閉店する店が後を絶たず、友人や知人は御旅商店街を去っていった。長年店を守ってきた父芳雄さんも13年前に90歳で他界。長谷川酒店もシャッターを下ろした。

 現在は画家として活動する長谷川さんは、当時の記憶や写真を頼りに、同商店街の絵を描き続けている。酒屋を営んだ建物は、今年中にギャラリーと立ち飲みバーに改装する予定だ。長谷川さんは「もう一度人が集まる場所に。父から託された店と商店街を守り続けたい」と話した。(川崎恵莉子)