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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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トロフィー店が教えるトロフィー活用法 「ペナントに名前を書いて…」 2020/02/20

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 「どんな願いも~わしらにお任せ~わしら陽気な七福神~♪」

 新開地(神戸市兵庫区)にあるレトロな商業ビル「ミナエンタウン」。1階の「神戸トロフィー」へ向かった。店の前に1台だけ置かれたゲームからは、耳に残る音楽が一日中流れている。店内にはまばゆいトロフィーが並んでいる。

 「確かに不便な場所やけど、『私のとこじゃないとあかん客がおるはずや』と信じて営業してるんよ」。店主の古屋紘子さん(81)は屈託のない笑顔で話す。

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 兵庫県三田市出身で、結婚後に新開地へ移住。暮らしていた土地を神戸市に売り、ミナエン内でゲームセンターを始めた。先ほどのゲーム機は当時の名残。「学校も多かったし、毎日お祭りみたいやった」と振り返る。スナックだらけの現在からは想像もつかないが…。

 10年前に夫と死別してからは、営業をやめて敷地を二分割。片方は長男正俊さんが店長を務めるお好み焼き店となり、もう片方でトロフィー店を営んでいる。

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 店には幼い頃にここのゲームセンターで遊んだ人が訪れる。「社内の大会に使うトロフィーを頼まれるような子は、たいがい出世しとるわ」とうれしそう。

 とっておきのトロフィー活用法をこっそり教えてくれた。「例えば先生なら、小さなトロフィーを教室の隅に置いて、テストで点数が良かった子の名前をペナントに書いてつるすんよ。褒められて嫌な子はいないから」。

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 その時、若手の学校の先生が来店したので、取材を切り上げて店を出た。数分後に再び店の前を通ると、「ペナントに名前を書いてな…」と熱弁する紘子さんの声が聞こえてきた。(伊田雄馬)