People People

M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

Kobe
People People People

客から最年少マスターに ミナエン“音楽のビル”の魅力とは 2020/02/22

記事

 大小約10軒のライブハウスが入るミナエンタウン(神戸市兵庫区)が「音楽のビル」の様相を呈してきたのは、ここ10年ほどのことという。ライブハウスが集まると、どんなメリットがあるのか。地下1階の「MILKY SOUND」のマスター木下明弘さん(59)に尋ねた。

 「店同士は仲が良いので、色々融通が利きますよね。『マイクスタンド貸して』とか。最近だと『ワイン1本貸して』なんてのも」と木下さんは笑う。

記事

 客にとっても好都合だ。同じフロアで営業し、ドラムセットなども常備する本格派「Cafe Sun」を経営する丸山大介さん(35)は「別のライブの合間に訪れてくれる人が多い」と明かす。

 丸山さん自身もかつては客の一人だった。愛媛出身で22歳の時、神戸に転居。ネット上でミナエンの情報を見つけ、一人で訪れた。「中に入る勇気が出ず、店の前を歩いているとマスターの奥さんが『おいで』と呼び止めてくれた」。一度入ると飲めや歌えや。「べろべろに酔って弾き語りをした」と振り返る。

 3年前に店を継ぎ、ミナエンの最年少マスターに。女性アーティストを集めた「女子会」やダンスナンバーを楽しむ「ディスコナイト」など、独自の視点からイベントを企画している。「面白ければなんでもやる。初めて来た人や楽器を弾けない人にも興味を持ってほしい」と意欲は十分だ。

 完成から半世紀が過ぎたミナエン。昭和の雰囲気を残す外見と裏腹に、テナントのラインアップは着実に変化していた。丸山さんら次世代が新しい物語を紡いでいくことを期待しながら、楽しい一夜に幕を閉じた。(伊田雄馬)