People People

M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

Kobe
People People People

食通うならす店集まる兵庫区 豚まんにこだわる2店紹介 2020/03/01

 粋な割烹からしゃれた洋食店、激安の立ち飲みまで食通をうならす店が集まる神戸市兵庫区の新開地、平野かいわい。製法、食材、外観、歴史…。こだわりはそれぞれ違えども、暖簾を守り、今に味を伝える名店は多い。「豚まん」にこだわる2店を紹介する。(杉山雅崇、喜田美咲)

記事

■春陽軒 絶妙な味のバランス楽しんで

 新開地グルメの代名詞とも言えるのが春陽軒(兵庫区新開地2)の豚まんだ。

 1925(大正14)年創業。3代目店主・山本豪さん(54)の祖父で、初代の清一さんが、屋台のラーメン販売でためた資金を元手に開店した。

 おいしさの秘密は、自然発酵でじっくり熟成させる生地。豪さんと双子の弟の美樹さん(54)ら職人が毎朝小麦粉を練り、1~3日間と発酵度合いの違う種をブレンドし、最適な配合で生地を作っていく。

記事

 「雨が降っても、気温が上下しても生地は変わるので、夜中に起きて発酵の様子を見なければいけない。30年続けているが、いまだに難しいね」と豪さんは語る。

 包むのは、かむほどに甘みが増す淡路産のたまねぎと、豚のミンチなどを交ぜ合わせた具材。蒸し上げた熱々の豚まんに、みそとしょうゆの特製タレを付けて食す。口の中に広がるジューシーな肉汁、もっちりと柔らかい生地の食感は最高だ。

 豪さんと共に1日千個以上の豚まんを売る妻の順子さん(50)は「絶妙な味のバランスを楽しんで」と話している。春陽軒TEL078・575・0078

記事

■中央ベーカリー「ラ・セントレ」 絶妙に合うシンプル餡と甘めの生地

 店名も建物もヨーロッパ風。見た目もパン店。しかし、近づくと「豚まん」と書かれたのぼりや看板が。突然吹いた中華の風に戸惑いながら店を訪ねた。

 平野商店街にある中央ベーカリー「ラ・セントレ」(兵庫区上三条町1)。現在の2代目前田知三専務(83)の叔父、高光祥年さんが1948(昭和23)年に創業した。平野地区には戦時中、配給用のパン工場があった。そこで働いていた高光さんは、工場閉鎖後にパン店を始めた。

記事

 でもなぜ豚まん? 「平野には当時、同じようなパン店がようさんあって、特徴を出さなあかんと、豚まんを売り始めた」と前田さん。パンと同じ酵母を使うことでふっくらもちもちした生地に仕上がる。ひき肉とタマネギのシンプルな餡だが、甘めの生地と絶妙に合い、お歳暮代わりに贈る人が多い12月は、800個の注文を受けたこともあるという。

 悩みの種は人手不足で、パンも豚まんも職人は各1人。豚まんを作る深水広喜さん(77)は19歳から働くこの道58年のベテランだ。前田さんは「この味を一緒に守ってくれる人がいれば」と話す。ラ・セントレTEL078・521・5100