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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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「口福」な瓦せんべい 新開地「福進堂」神戸和菓子の伝統守る 2020/03/10

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 新開地本通り(神戸市兵庫区)をぶらついていると、大きな看板が目に飛び込んできた。金文字の「福進堂」の扁額と並び、でかでかと書かれた「瓦せんべい」の5文字。時はまさに午後3時。迷うことなく、のれんをくぐった。

 「創業からずっと、一番の売りは瓦せんべい」。2代目店主の河野正広さん(79)が教えてくれた。1933年、同区小河通2に店を構えたが、戦災などで店舗は転々。65年、新開地に移転した。現在は3代目の石橋直樹さん(49)が店を切り盛りし、約30種類の和洋菓子を作っている。

 イチオシの瓦せんべいは、しっとりとした口当たり。ほんのり甘い香りに、味覚中枢を刺激される。卵や小麦粉などを練り合わせた生地を常温で約8時間寝かせ、水を混ぜずにハチミツを多く使うのがポイントなんだそうだ。

 焼き印は、神戸っ子になじみ深い「楠公さん」の楠木正成公や北野の異人館などなど。オリジナル焼き印も注文できるというから、結婚の暁にはぜひとも引き出物に…と心の中でひそかに誓う。

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 大衆芸能の町・新開地にとどまらず、ヅカファンの聖地・宝塚大劇場では名物「宝塚人形焼」を展開する同店。さらにたくさんの人に「口福」を味わってもらおうと、河野さんは新商品の案も練っている。

 「老舗がないと商店街はさみしい。この先も神戸和菓子作りの伝統を守っていくよ」。傘寿間近の今も、情熱は衰えることがない。

 福進堂TEL078・575・3125

(千葉翔大)