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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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神社の洞穴、貯水池護岸の円い穴… 平野の不思議に迫る 2020/04/08

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 神戸市兵庫区の平野地域には、ほかにも不思議が隠されている。貯水池の護岸に並ぶ円い穴の正体は? 神社にある洞穴の中には何が? 町歩きから生まれたギモンを出発点に、歴史散歩に出掛けることにした。(川村岳也)

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■石臼に込めた思い

 神戸駅前から乗ったバスを「石井町」停留所で下車。山道を上ると10分足らずで、花と緑に囲まれたダム湖が目の前に現れる。

 1905(明治38)年完成の烏原貯水池。優美な4連アーチに洋風意匠のダムは、国の登録有形文化財だ。貯水容量は約131万立方メートル。市水道局によると、烏原貯水池から市内の水道に供給されることは「今ではほとんどない」。主に、他の貯水池にトラブルがあったときの予備水源と位置付けられている。

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 貯水池の護岸を見ると、石でできた円筒型の物体が横一列に並んでいる。その数、なんと160個。これもデザインかと思いきや、実は「石臼」だという。

 近くの看板には、こう記されている。

 〈明治37年、烏原村の人々は水没によって離村するにあたり、その足跡を残し、神戸市の繁栄を願って、それまで使っていた石うすを記念に残したものです〉

 「神戸市水道七十年史」によると、谷あいのこの地には元々、400人ほどの村があった。主産品は線香の原料となる樹皮の粉末で、全国から引き合いがあるほどの品質を誇った。水車で粉をひく際に使っていた石臼は、いわば村の象徴。水底に沈むふるさとに寄せた、深い思いが込められている。

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■献上品の氷を保存

 石井町のバス停から路地を抜け、住宅地の先にあるのが、最近は「恋愛パワースポット」として注目される氷室神社(氷室町2)。境内を奥に進むと、しめ縄を飾った洞穴がある。社名の由来でもある「氷室」の跡だ。

 氷室とは、天然の雪氷の保存場所。由緒では、仁徳天皇の時代(5世紀前半)に宮中に氷室の存在が知られると、氷が毎年献上されるようになり、仁徳天皇を祭神とする神社が創建されたという。

 その氷室も「昭和の初めの水害で崩れてしまった」と小林栄一宮司。再建時にコンクリートで補強され、今は使われていない。

 とはいえ、6月1日の例祭は「氷祭り」。氷業者のみならず、最近ではフィギュアスケートのファンらも訪れるといい、興味深い。