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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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神戸・北区の「やきもち地蔵」 名前の由来は… 2019/08/24

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 まちを歩いていると妙に気になる建物や看板、施設などに遭遇する。取材をしてみると「えっ!」と驚く背景や歴史に触れることができる。「北マンスリー 街道を行く」。神戸市北区山田町で出合った「えっ!」を紹介する。(喜田美咲)

 広陵町自治会の集会所から北西へ約250メートル。有馬街道沿いの交差点付近に「やきもち地蔵」(北区山田町下谷上)の大看板が立つ。嫉妬心を治めるお地蔵さま? それとも恋愛成就? 夫婦円満?

 所有する寿福寺に尋ねると、いずれも不正解。名前は「焼き餅」に由来するという。旧正月に現れたお地蔵さまに、村人が焼いた餅を供えたところ、喜んだお地蔵さまが願いを一つかなえてくれた伝説が残る。以来、一願成就で知られ、遠方からの参拝者も多いとか。

 お地蔵さまと言っても、顔や胴体部分がなく、前掛けのついた舟形の石が置かれているだけ。その昔、お地蔵さまが複数の村人の夢枕に立ち「橋を修理するように」と告げた。村人が修理に取りかかったときには今にも崩れそうだったが、もう少しのところで大事に至らなかった。橋のたもとから出てきた舟形の石がお地蔵さまに見え、祭ったのが始まりとされる。

 実は2体あるのをご存じだろうか。一時期紛失して新しいものを作ったが、その後、以前のものが戻ってきたためという。同寺の総代前中忠博さん(73)は「村人が大切にしてきたお地蔵さん。お願い事をするときは、感謝の気持ちを忘れずに」と話す。