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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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「港都・神戸」発展に寄与 世界60カ国の外国人ら眠る再度山 2019/08/28

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 「港都・神戸」をつくり、そして支えた多くの外国人たちが眠る市立外国人墓地(神戸市北区山田町下谷上)。六甲山系・再度山の北側にあり、東京ドームほぼ3個分に当たる14ヘクタールほどの広大な敷地に世界約60カ国、約2900人の墓が並ぶ。北野・異人館や三宮・旧居留地以上に「異国情緒を放っている」と感じるのは私だけだろうか。墓地の前に立ち、静かに手を合わせる。夏の暑さを和らげる風が頬をなでる。港都の発展に寄与した先人たちの歩みに思いをはせた。(長沢伸一)

 J・マーシャル(英・初代神戸港長)

 E・タルカット(米・神戸女学院創立者)

 E・H・ハンター(英・日立造船所の前身を創設)

 F・D・モロゾフ(露・洋菓子職人)

 R・G・スミス(英・博物学者)

 W・R・ランバス(米・関西学院創立者)

 E・B・クラーク(英・日本ラグビーの父)

 A・C・シム(英・18番ラムネの発明)

 H・フロインドリーブ(独・パン職人)

 J・C・ウィルキンソン(英・天然の炭酸鉱泉を発見)

 墓に刻まれたそうそうたる名前に圧倒される。

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 墓地を管理する市森林整備事務所の栗山明久所長(56)が、「神戸港開港前に居留地についての取り決めがあり、墓地を用意する約束が決められました」と説明してくれた。

 1960年代半ばごろまでは墓地への立ち入りが自由だったが、現在は遺族らに限定。2006年度からは4~11月の毎月第4日曜日に、ガイドが同行する見学会を開いている。07年には国の名勝指定を受けた。最近は新しい墓ができることはほとんどないが、今でも遺族など年間約2千人が訪れるという。

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 国別の墓数をみると、英国、米国、ドイツの順。おおむね、キリスト、ユダヤ、イスラム、ヒンズーなど宗教ごとにエリア分けされ、墓石の形状は多種多様だ。中でも強烈だったのはゾロアスター教の墓だった。「拝火教」の名の通り、燃え盛る炎のシンボルがあしらわれていた。また、船のかじや本などの墓碑も目を引いた。

 「実はこの場所、ある日本の歴史的人物とゆかりが深いんです」と栗山さん。聞くと「弘法大師空海が中国の唐に渡る直前と、帰国直後に訪れたとされています。この逸話からここは再度山となったんです」。

 空海の故事から名前がついた再度山にある外国人墓地。栗山さんは「まさに和洋折衷の神戸らしい場所では。神戸の歴史を知るために大切な場所です」と口にした。

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【神戸市の外国人墓地】神戸港開港に先立つ1867(慶応3)年、神戸沖に停泊中の英米艦船から乗組員4人の死者が出たため、小野浜(現・中央区浜辺通)に埋葬したことが始まり。開港後、居留地の発展とともに埋葬者が増えた。99(明治32)年には春日野(同区籠池通)も造成され、その後の急速な市街化で現在の場所に移された。