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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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きたっ子むすめ2人が行く 鈴蘭台の今昔訪ね歩き 2019/08/18

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 「鈴ぶら」をスタートするに当たり、強力な助っ人に加わってもらった。神戸親和女子大3年生の歳内愛満さん(20)と宮崎愛韻さん(21)。神戸市北区のまちづくりに携わる「きたっ子むすめ」で、ともに同区出身の仲良しコンビだ。神戸電鉄の鈴蘭台駅前で古くから続く商店などを一緒に訪ね歩き、まちの歴史や人々の暮らし、「住みたくなるまちとは」を考えた。(伊田雄馬)

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 きたっ子むすめは、同大の学生4人で結成され、市の広報誌に登場したり、まちづくりの会議に参加したりと活躍する。小学校の先生になるのが目標という歳内さんは「鈴蘭台のいいところを深く知りたい!」とにっこり。近くで生まれ育った宮崎さんは「知り合いを増やすきっかけになれば」と意気込む。

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 2人がまず向かったのは、鮮やかな黄色の壁が目を引く同駅前の「理容なかもと」(鈴蘭台北町1)。ドアを開けると、2代目店主の中本博行さん(68)と息子の義樹さん(39)が出迎えてくれた。

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 1948(昭和23)年ごろ、戦争から復員した博行さんの父が始めた同店。50(同25)年生まれの博行さんは、まちの様子をはっきりと覚えている。

 「西鈴蘭台の辺りはまだ田んぼだらけ。駅周辺は別荘地で、外国人が住む異人館も建っていた」

 「えー」と声を上げる2人。それもそのはず、今や街に別荘地の面影は全くない。「お金持ちが避暑のため、夏の間だけここで暮らしていた」と博行さん。さらに「店の前の駅前通りは川だった」と続ける。当時の駅前の写真にも確かに川が写っており、よく網で魚を捕まえたそうだ。歳内さんは「普段歩いている道が川だったなんて…」とまちの変化に目を丸くする。

 もう一つのサプライズは博行さんが鉱物収集マニアだったこと。今は店での展示はわずかだが、かつては壁一面に、雲母や大理石、エメラルドなど約千種3千個の鉱物が並んでいた。

 「息子(義樹さん)のお土産に旅先で標本を買ったことがきっかけではまってしまった。凝り性なんで」と博行さんは笑う。

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 理容なかもとを出るとさっきより太陽が高く昇り、じりじりとアスファルトを焼く。少し休憩を取ろうと、同駅からすぐのカフェ「あうん」(鈴蘭台東町1)へ向かった。森の中のダイニングカフェをイメージした“おうちカフェ”。2階にある京風づくりの喫茶店「珈琲屋あうん」の両方を手掛ける池田ゆう子さん(58)に話を聞いた。

 ゆう子さんの祖父母は以前、下駄などを扱う雑貨店を営んでいたといい、「この辺りの女性は皆、アッパッパ(ワンピース)に下駄の『鈴蘭台ファッション』に身を包んでいたんよ」と教えてくれた。

 宮崎さんは「前から入りたかったお店。話を聞けて良かった」と満足そうだった。