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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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名湯「有馬」泉質の神秘 国内でも希少な金泉、銀泉の共存 2019/09/21

□有馬温泉(神戸市北区)□

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 名湯の誉れを全国にとどろかせたのは、成分も色合いもまったく異なる2種類のお湯が湧き出ていることだ。鉄分を豊富に含む赤褐色の「金泉」。炭酸泉やラジウム泉からなる無色透明の「銀泉」。この2種類が“共存”するのは国内でも希少だという。その神秘に迫った。(西竹唯太朗)

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 「今、湯口から出ているお湯(金泉)は、約600万年前の海水が、地表に噴き出したものです」

 有馬観光協会会長で、老舗旅館「陶泉御所坊」の第15代当主金井啓修さん(64)はこう話す。

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 メカニズムはこうだ。

 太平洋の海水が、地殻変動によってプレートと共に地中深く潜り込み、マントルの熱によって温められる。地中で約600万年という長い年月をかけて鉄分などの成分を含み、塩分濃度は海水の約2倍になるという。源泉の温度は約90度と高温で、保湿、保温効果や外傷などへの効能がある。

 「実は金泉、湧き出たときは無色透明なんです」と金井さん。「空気に触れて酸化することで茶褐色に変色するんです」。

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 茶褐色の湯に陽光が反射し、黄金に輝く様子から名付けられたと伝わる「金泉」。一方、銀泉の歴史は意外にも浅い。

 明治時代になって間もない1874年、湯山町(現・北区有馬町)町長だった梶木源治郎が、泉源調査を実施し、炭酸泉であることを突き止めたことに始まる。この泉源、当時は湧き水から発する二酸化炭素の影響で虫や鳥が死に、地元住民らからは「毒水」として恐れられていた。

 関東の商人から「温泉の湧く所には必ず炭酸水が出ている」と教えられた梶木は、この泉源の水質を検査。翌85年に有益な「炭酸水」と認められ、この水の価値は一転した。瓶に詰めてもふたが勢いよくはじけることから「てっぽう水」とも呼ばれるようになった。約20度の冷泉で、湯は温めた上で、利用されている。

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 現在、有馬温泉内にある市管理の泉源は7カ所。天神泉源や極楽泉源など金泉が4カ所で、残り3カ所が銀泉だ。独自で泉源を確保している旅館も多い。

 「特に金泉の管理は大変なんです。カルシウム成分を多く含むので放っておくとすぐにパイプが詰まってしまう。3、4日に1度は掃除しています」と市の担当者。ただ、「それだけ効能があるということです」と太鼓判を押す。

 それでは、有馬の湯がどう希少なのか、中央温泉研究所(東京)の滝沢英夫研究部長(50)に尋ねた。

 滝沢さんによると、「2種類のお湯がある温泉はそう珍しくないが、注目すべきは鉄泉と炭酸泉の組み合わせです」と説明する。国内には約2万7千カ所の温泉泉源があるとされるが、うち鉄泉は約1%、炭酸泉に至っては0・2%にとどまるデータがあるという。

 滝沢さんは「世界にもまれな名泉。日本三大名湯、日本三古泉として万人に愛される有馬の力はここにあります」と話す。

【日本三大名湯と三古泉】

有馬温泉は、草津温泉(群馬県)、下呂温泉(岐阜県)とともに三大名湯と言われるほか、道後温泉(愛媛県)、白浜温泉(和歌山県)と合わせ三古泉としても知られる。公営の外湯「金の湯」「銀の湯」の2018年度の入浴客数は、それぞれ約32万人(前年度比11・1%増)、約14万人(同23・9%増)で、外国人も増加傾向にある。