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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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夜の水道筋・大人ツアー「味・酒・乱」密着取材 2018/07/19

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 「まちを楽しむ」。神戸市灘区の水道筋商店街にはこうした視点があふれている。取材を続けるうち、夜の商店街を楽しむ大人向けツアー「水道筋的裏ミシュラン」が月1回催行されていることを聞きつけた。「ミシュラン? そんな高級店あったかな?」。地元のガイドに尋ねると、「ミ(味)、シュ(酒)、ラン(乱)という意味よ」。その答えに思わず吹いてしまった。水道筋の夜を食べ歩く「味・酒・乱」を2回に分け紹介する。(末吉佳希)

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 水道筋商店街協同組合が企画し、今年で3年目。毎月第4土曜の夕方から約2時間、ガイドとともに3店を巡る。この日は私を含め男女13人が参加した。

 「ろれつが回らなくなったらごめんね」。今回のガイドで、地元の沖縄民謡歌手、竹下育さん(45)が照れ笑いであいさつする。お酒に弱いのだとか。

 ツアーは水道筋の守り神「えべっさん」(水道筋恵比寿)像の紹介から。アメリカンフットボールのユニホーム姿が特徴で、定期的に「ハッハッハ~」と大きな笑い声を上げ、商店街に幸福を振りまくという。

 その後、向かった1軒目はうどん「な也」。2階席に案内されると「ハッハッハ~」と野太い声が鼓膜を揺らし、「えべっさんがついてきたのか」と驚く。声の主は店長の永井和浩さん(54)。何を隠そう、えべっさんの声を吹き込んだ人なのだ。

 サプライズもつかの間、今度は目を疑う。テーブルには、うどんにミニちらしずし、鳥の陶板焼きなどボリューム満点の7皿が並ぶ。「さすがはえべっさん。太っ腹」と心の中でぽつり。味も絶品だ。

 ところが早々に試練が訪れる。滞在時間は30分間とややタイト。取材ノートにメモを取りつつ食べていると、あっという間に退店時間が迫る。「あと5分で次行きま~す」とガイド。参加者から「もっと居させて~」と声が上がった。

 後日、個人的にまた来よう。もったいないが、一番おいしかった牛すじカレーうどんを、冷えたビールで一気に流し込む。早食いで張るおなかを抱えながら急ぎ足で2軒目に向かった。 「げぷっ」