People People

M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

Kobe
People People People

水道筋は「巨大なデパ地下」 450店が軒連ね千円あれば満腹 2018/07/18

記事

 水道筋商店街(神戸市灘区)の名を兵庫県内外にとどろかせたのが「つまみ食いツアー」だ。4市場、8商店街の名物を食べ歩く人気イベントで、千円もあれば満腹に。開催日(第3日曜日)には、大型ショッピングモールに劣らない人でごった返す。「ディープな逸品を食べてみて」。多くのリーピーターに促され、いざツアーへ。「灘マンスリー 水道筋界隈」。今週は「食」をテーマに約450もの店が軒を連ねる“迷宮”に足を踏み入れる。(西竹唯太朗)

記事

 2015年に始まったこのツアー。考案者で、元ツアーコンダクターの西井利之さん(50)の先導で最初に向かったのは灘センター商店街の中国料理店「膳房」だ。出てきたのは、茶わんになみなみと盛られた中国がゆ。「最初からこんなに食べて大丈夫か…」と内心感じていたが、そんな不安は一口食べた瞬間に吹っ飛んだ。薄味ながらもコクがあり、だしのうま味が効いた味付けにレンゲが進む。

 2軒目はおしゃれパン屋の「にこねこ堂」へ。バナナとチョコレートを使ったパン「とらのシッポ」をいただき、畑原東市場に移動する。揚げ物店「ひので」でショーケースから串カツを1本選ぶ。目の前で揚げてもらい、熱々を口の中でほおばった。西隣の畑原市場では練り物店「凪商店」と「佐藤とうふ店」に立ち寄った。「にがりを使っているから豆腐が崩れにくい」。キンキンに冷えた無糖豆乳で喉を潤す。

 ツアーはまだまだ続く。6軒目の灘中央筋商店街の焼き豚専門店「木村商店」では、バラとモモの部位を1切れずつ食べる。あっさりとかみ応えのあるモモと口に含んだ瞬間油が溶け出すバラ。物欲しげな表情と見えたのか「もう1枚食べる?」と店の人が気さくに声を掛けてくれる。一緒にツアーに参加した中央区の男性(45)はバラ500グラムを購入。「刻んで焼き豚丼にしてみたい」。

 灘中央市場では青果店「藤原商店」で、ゆでたトウモロコシにかぶりつく。黄と白の2色があり、いずれも甘みが口の中に広がった。鮮魚店「大谷商店」でお土産を見定め、最後は精肉店「土居商店」のローストビーフ。口の中いっぱいに広がる肉汁はやみつきになるおいしさだ。

 ツアーの途中、立ち寄った休憩所では、西井さんが壁際にある蛇口をひねった。勢いよく流れ出す水。聞けば六甲山の地下水脈を掘った井戸水だとか。両手にすくい飲んでみると、クリアでとてもおいしかった。

 約2時間で9店舗をはしご。「水道筋は巨大なデパ地下」との西井さんの持論に納得した。と同時に、リピーターを引き寄せる最大魅力は、何より気さくな商店主との会話とこだわりの味にあると感じた。