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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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炭火焙煎、薪で焼いたパンをヒントに 創業90年の萩原珈琲 2018/08/03

記事

 にぎやかな水道筋のすぐ近く、阪急王子公園駅の南にコーヒー豆焙煎(ばいせん)卸「萩原珈琲」の本社(灘区城内通1)がある。炭火焙煎の先駆けとして知られ、今年10月に創業90年を迎える。その原点は市場にあった。

 大正末期、創業者が国鉄(現JR)灘駅北側の和田市場に、雑穀などの卸「萩原商店」を構えたのが始まり。商品の砂糖を通じてパン店と付き合いがあり、薪(たきぎ)で焼いた物はふっくらしておいしいという記憶があった。それが「コーヒー豆も同じでは」と、1950年から本格的に炭火焙煎に取り組むきっかけになった。

 その後、市場火災で関係書類が焼けたため立証はできないが、創業者のひ孫でもある取締役の萩原英治さん(36)は「おそらく日本で最初に炭火焙煎を始めた会社だろう」と推測する。

 炭火焙煎のメリットは、豆の内外に均一に火が通ること、コーヒーが冷めても渋みや酸味が出にくいことだという。一方、品質の均一化は難しく、ポートアイランドの工場では「焙煎師」が炭を使い分けたり、釜の空気弁を調整したりして火加減に心を砕く。

 卸先は個人経営の喫茶店やレストランが主で、西は加古川や西脇、東は大阪北部まで約600軒に最低週1回は直接届ける。地元・灘は約40軒。大手は手間のかかる配達をやめる傾向にあるというが「うちは小規模なので、原点である市場や商店の良さを大事にしたい。絶対に続ける」と萩原さんは話している。

 本社1階の直売店「コーヒースタジオ」では、自分好みのブレンドも作ってくれる。同店TEL078・861・4960(上杉順子)