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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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海を望む共同墓地 神戸・長田に眠る華僑の先人 2018/11/03

 開港から150年を迎えた神戸港。世界とつながる玄関口として多くの人、モノが入ってきた。華僑も海を渡り神戸へ。2世、3世へと代替わりしたが、先人が眠る墓が整備された。神戸市長田区丸山地区に隣接する滝谷町に共同墓地「神阪中華義荘」があると聞き、訪れた。その数約1100基。斜面に沿って段々に墓石が並び、神戸の街を見下ろすように全て海に向かって立っていた。(石川 翠)

■全国に4カ所

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 一般社団法人「中華会館」(中央区)が管理する。神戸華僑の歴史をまとめた「落地生根」によると、中華義荘は、神戸、函館、横浜、京都の全国4カ所しかないという。

 神阪中華義荘は、神戸港開港の2年後、1870(明治3)年、客死した華僑を埋葬するため、現在の中央区中山手通に創設された。当時、公営墓地は国籍に制限があったことも背景とみられる。都市化したことから1941(昭和16)年に現在の場所に移ったという。

■土葬の墓も

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 正面入り口をくぐり、中華様式の納骨堂の横を通り抜けると、斜面に沿って墓石が並ぶ。墓石には「福建省」「台湾省」など一族の出自が刻まれている。墓地購入者の出身地別でみると、広東省が4割を占め、台湾が2割、江蘇、福建、山東、浙江と続くという。

 現在は火葬した遺骨を納骨しているが、古いものでは土葬の墓が残っている。故人の写真をはめ込んでいたり、獅子や竜の像、中国的な四角形の渦巻き模様が彫られていたりする墓石もある。阪神・淡路大震災で亡くなった華僑や留学生の慰霊碑も建立されている。

■墓参りのピークは4月

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 一年で最も墓参りが多いのが4月5日前後の「清明節」。日本のお盆のような節目で、桜の開花時期ということもあり、ちょうちんをつるして紙銭などを供える人でにぎわうという。「日本で生まれ育った世代が大半になり、(日本の)盆と正月に墓参りする人も増えてきている」と中華会館事務局の魏浩順さん(58)。

 管理事務所には近所の日本人女性(77)が常駐する。「中国語は全く話せないけど、縁あって30年近く。何家の墓がどこにあるか、だいたい覚えてます。今では近くの子どもたちが見学に来るなど地域になじんでいます」と話す。

 お参りに来ていた黄錦全さん(62)=中央区=は3世。祖父が広東省から神戸に渡り、南京町で豚肉販売店を始めた。母は日本人。自身も中華料理店を約30年切り盛りしてきたという。

 「普段は意識しないけど、ここに来るとどちらのルーツも感じる。大好きな神戸の海も眺められる大事な場所やね」