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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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女子にも人気 昭和レトロな立ち飲み屋 神戸・長田 2018/11/16

記事

 仕事の帰りに、銭湯でさっぱりした後に、「ちょっと1杯」寄り道したくなるときがある。下町の雰囲気が残る神戸市長田区には、昭和レトロな立ち飲み屋が点在する。そんな立ち飲みの魅力を、庶民派グルメライターの芝田真督さん(71)=垂水区=と探ってみた。

 訪ねたのは、JR鷹取駅すぐの「森下酒店」(長田区長楽町3)。創業50年を迎えた老舗だ。カウンターでの立ち飲みのほか、小さなテーブルを囲む椅子席もある。2代目の森下貴央さん(53)は「夜は会社帰りの人で大にぎわいですよ」と目を細める。

 芝田さんが作成した神戸市内の「角打ちリスト」によると、長田区内には31店舗の立ち飲み屋がある。各区の人口1万人当たりの割合で比較すると、兵庫区に次いで多いという。古くから大企業の下請けや小さな町工場が集中したことに由来するといい、芝田さんは「立ち飲み、銭湯、喫茶店は町工場で働く人の三種の神器」と位置づける。森下酒店も昔あった銭湯の目の前に創業したというから、合点がいく。

 瓶ビールに日本酒、焼酎…、何を飲むかはその人次第。同店は夜勤明けの人のために、朝から開いている。神戸の立ち飲み屋ではおなじみのコンビーフやホワイトアスパラの缶詰のほか、夜はおでんや日替わりの小鉢も加わり、箸も進む。

 工場が栄えたころは、居住スペースを打ちぬいて席を広げた。しかし、阪神・淡路大震災で一帯の大部分が焼け、周辺の立ち飲み屋も激減。今では地区で2軒ほどになったというが、一方最近ではネットを通じてやってくる若い女性客も増えた。

 森下さんは「仕事のぐちや毎日の疲れを、ここで飲んですっきりさせていくんでしょうね。一見さんもふらっと、来てくださいね」とほほ笑んだ。(久保田麻依子)