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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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長田といえば銀幕ロケ地? 昭和風情残る下町など人気 2018/12/04

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 神戸市長田区と言えば…。そう市内を代表する銀幕ロケ地の“顔”を持つ。昭和レトロの風情を放つ丸五市場や六間道商店街のほか、旧菅原市場は、故渥美清さんの寅さんシリーズの舞台となった。ドラマを含めると阪神・淡路大震災以降、計約20カ所が撮影ポイントになっている。映画やドラマの神戸ロケを誘致する「神戸フィルムオフィス」の担当者に長田が選ばれるワケを聞いた。(末吉佳希)

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 旧菅原市場の跡地「すがはらすいせん公園」(長田区菅原通4)。子どもたちの歓声が響く、その横には、震災11カ月後の1995年12月に公開された「男はつらいよ 寅次郎紅の花」のロケ地記念碑が立つ。

 1920年創業の同市場は震災で37店舗が全焼。震災4カ月後には仮設店舗で営業を再開し、「復興のシンボル」と言われた。5年後には共同スーパー「味彩館 Sugahara」として再建を果たしたが、店主の高齢化や大手スーパーの進出などを受けて2017年閉店した。記念碑には95年10月のロケで出番を待つ渥美さんの写真が残る。

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 震災後、一念発起してプロゴルファーとなった古市忠夫さんをモデルにした映画「ありがとう」(06年・赤井英和さん主演)では長田港が、野坂昭如さん原作の「火垂るの墓」(08年・吉武怜朗さん主演)ではふたば学舎が使われた。

 不良高校生の抗争を描く青春映画「クローズZERO」(07年・小栗旬さん主演)の監督三池崇史さんは「健全な不良が通ってそう」と六間道商店街などを「不良高校生の通学路」としてフィルムに収めた。同商店街の北側に位置する「丸五市場」はNHKドラマ「女子的生活」(18年・志尊淳さん主演)に登場した。

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 下町情緒漂う商店街は市内に数多くある。その中でなぜ長田が選ばれるのか。

 「昼間でも落ち着いて撮影できるのが長田の魅力なんです」と神戸フィルムオフィスの三宅千佳さん。良くも悪くも、普段からの人通りが少ない分、撮影による周辺の混雑も発生せず、撮影がスムーズにいくのだとか。

 また、撮影に対する住民の理解も深く、空き店舗や施設の利用を快く受け入れるなど、撮影への寛容さがロケを強く支えているという。「基本ノーが出ず、制作者の思いを尊重してくれる街。それに加え、ロケ弁当や食事など、撮影陣へのおもてなしも手厚い」と住民の人情味を語る。

 三宅さんは「神戸の街を都会と下町に分類すれば、長田は後者の代表格」といい、「近年の駅前再開発で下町が失われつつある中、長田は神戸に残る貴重な下町」と話す。