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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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長田のこなもん調査、「そばめし」のルーツたどる 2018/12/08

 いつの世もいつの時代も「元祖論争」に終わりはない。新長田(神戸市)発祥の「そばめし」もその一つ。中華麺とご飯をすじこんなどと一緒に熱々の鉄板の上で炒め、香ばしいソースと混ぜ合わせた下町のソウルフードだ。取材班は発祥のルーツを探るため、長田区久保町にある二つの店舗を訪れ、その秘話を取材した。

 そばめしの起源は1955年ごろ。保温機能がついた弁当箱がない時代で、シューズ工場で働く従業員らが昼食に持ってきた冷や飯を、店の鉄板で温め、注文した焼きそばと一緒に食べていた。昼休みの時間短縮にと両方を混ぜたのが始まりとされる。

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 最初に向かったのは発祥店として名をはせる「青森」(久保町4)。1957年創業で、今は3代目の青森功樹さん(41)らが切り盛りする。85年ごろ2代目が店を継ぐ際、「そばめし」としてメニュー化した。

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 中華麺1玉と茶わん1杯分のご飯、そぼろ状の牛すじをつぶしながら炒め、ウスターとオイスターソースで味付ける。お好みで地ソース「ばらソース」をかける。スパイシーなソースの味が食欲をそそる。

 青森さんは「発祥の店ということに強いこだわりはない。昔から変わらない味を提供し、お客さんが喜び、地域がにぎわうなら作り続けたい」と話す。

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 次に訪れたのはアスタくにづか4番館1階にある「やよい」(久保町6)。創業は53年で、今年で65年を迎える。人気メニューの「グッドライス」に目がくぎ付けに。材料、作り方、見た目は、そばめしと全く同じだ。ではなぜこのネーミングに?

 2代目店主の水野敬子さん(65)が教えてくれた。

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 「約40年前、家からご飯を持ってきて鉄板で温めてもらうことがよくあったんよ。先代は見た目が犬のご飯に近いから『ドッグライス』にしようとしたけど、商品名としてどうかということになり、「ド」と「グ」を入れ替えて『グッドライス』にしたらしいわ」

 青森のそばめしより、やよいのグッドライスの方が起源が古いではないか! ただ、「そばめし」という名前でメニュー化したのは新長田では青森が最初のようだ。青森の2代目が、そばめしをメニュー化する際、やよいの先代に相談したという。水野さんは「お客さんに喜んでもらえるならどこが発祥でもええわ」と豪快に笑い飛ばした。(吉田みなみ)