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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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長田の下町らしさ どう生かす 下町余情座談会 2018/12/28

記事

長田について熱く語り合う参加者=長田区二葉町7、ふたば学舎(撮影・後藤亮平)

 神戸市長田区の魅力や課題をまちのリーダーや若者が語り合うトークイベント「昼から生ナガタ!」。前半では、地域交流や震災復興後のイベントの在り方などについて議論を交わした。後半は下町文化を生かしたまちづくりや、それぞれが考える長田の将来像について話し合った。(まとめ・久保田麻依子)

※下町余情座談会 参加者の横顔

 -若い世代から見たまちの印象は。

 小笠原 長田は毎週のようにイベントがあり、子どもに触れさせたい体験が身近でできるのはとてもありがたい。ベビーカーを押しているとおばちゃんたちに声を掛けてもらえるし、喫茶店では「抱っこしているからゆっくりしてて」と言ってもらえる。おせっかい文化がまちに溶け込んでいて、手を差し伸べてくれる人がたくさんいる。

 岡本 大学4年間を長田で過ごしてきたが、本音を言うと、もう少し地域の人たちに親切にしてほしい。道路を歩いていると、すごい速さで自転車を飛ばしてくるおばちゃんもいて、ちょっと怖い。子どもには優しいまちかもしれないけれど、僕たち世代にとっては入りやすいカフェや居酒屋が少なく寂しさを感じる。

 -長田を印象づけるのが「下町らしさ」。これをどう生かし、強みにしていくか。

 中村 長田ほどリーダーシップのある主要な人物が多い区はない。商店街の活動も活発。個性が強過ぎるという意見もあるが、いろんな立場の人がうまく交わり合って発信すれば、いいまちおこしができる。

 岡田 私は来年の改元がチャンスだと思う。昭和レトロの雰囲気が自然に残っている長田を、区内外にアピールする。最近は昭和歌謡ショーや70年代ディスコが再び注目を集めているので、そうしたものを長田に呼び込んで「昭和の聖地」にすればいい。おせっかいおばちゃんをキャラクター化して映像配信したり、商品を作ったりしたら面白い。

 東 昔は、景気がいいとベンツに乗ってお好み焼き屋に現れ、景気が悪くなると軽乗用車でやってくる、なんとも言えない人間くさい風景があった。しかし震災の再開発後に、下町らしさが薄れてしまった。長田は高齢者が多いので、「福祉」「健康」「歴史」をコンセプトにしてはどうか。例えば、商店街に誰でも利用できる足湯を設置する。源平合戦に由来する史跡も多いので、それにスポットを当てて、歴史のまちをPRするのはどうか。

 加藤 張りぼての下町ではなく、人と人とのやりとりや生活感が必要。区内では最近、クリエーターが古い空き家をリノベーションして移り住んだり、小さな路地で作品展をしたりしている。若者の活躍の場が増えており、人が人を呼ぶ効果が生まれている。

 -最後に、長田のためにやってみたいことや、今後の目標は?

 小笠原 私は若者に「長田は面白い」と思ってもらえるような企画をしたい。大学と連携しながら、まちづくりや子育ての観点から若者と発信していきたいと思う。上の世代が続けてきたまちづくりの熱意を、今度は私たちが受け継ぎたい。

 東 まちを歩きながら、区内のお好み焼き、焼き肉、喫茶店を訪ねて調べている。大きな夢かもしれないが、それらを集めた「食の道楽」がテーマの拠点を造りたい。特に長田は食肉加工場があるため、新鮮な肉を扱っている店が多い。神戸ビーフランド構想、というのがあっても面白い。

 中村 2019年に、兵庫県と神戸市の合同庁舎が地下鉄駒ケ林駅の近くに完成する。多くの人が長田で働くことになるので、経済効果に期待したい。また、長田は地理的に市内の中心にあるので、大学の第2キャンパスを造りたい。区の北部に音楽堂を設けるのも面白そう。

 岡田 鉄人広場に常設の屋根付きステージを造って、キッズダンスやステージができるイベントをしたい。目標は年間100本のステージ。騒音の問題などがあり実現は難しいかもしれないが、区外の人も関心を持って来てくれるのではないか。

 岡本 こうしたトークイベントに、長田の学生がもっと参加する機会を増やしてほしい。学生なりの目線でまちづくりへの意見ができると思っている。

 加藤 長田の魅力は産業。あまり知られていないが漁業も盛んで、地元の港で取れた魚が夕方には居酒屋に並ぶのは、都会ではすごいこと。靴やゴム、ラムネなど、素晴らしい技術を持っている工場がたくさんある。こうした産業の強みをPRして、働きやすいまちとして知ってもらう取り組みに力を入れたい。

(文中敬称略)

【出席者】

■加藤久雄・長田区長

■東 充・神戸アーカイブ写真館館長

■岡田誠司・KOBE鉄人プロジェクト事務局長

■中村忠司・神戸常盤大学地域交流センター長

■岡本 誠・神戸常盤大学こども教育学科4年生

■小笠原 舞・合同会社こどもみらい探求社・asobi基地代表

■司会 藤原 学・神戸新聞報道部デスク