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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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激しい目まい、緩和に描いた絵が好評 長田の介護士、15日から初販売 2018/12/12

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 短いメッセージと、周りを埋め尽くす緻密な花やハートの模様。そんな作品が神戸市長田区の商店や施設に贈られ、喜ばれている。贈り主は、同区の介護士安積沙矢さん(37)。病による激しい目まいを和らげようと2年前に描き始め、支えてくれた地元の人たちにプレゼントしてきた。「こんなことしかできないけれど」と、感謝の気持ちを込めて描き続ける。(吉田敦史)

 安積さんは2016年10月、電車で移動中にパニック障害を発症。その後、強い目まいを繰り返す難病「メニエール病」と診断された。原因はまだ解明されていないが、女性に多く、ストレスや睡眠不足などが関係しているという。発作があると「船酔いのような感覚」で立っていられず、家から出られなくなった。

 「何かしないと駄目になる」。目まい対策には意識を一点に集中するのが良い-と聞いてペンを手に取った。最初はただ、でたらめにぐりぐりとペンを走らせた。それが模様に見えてきて、広げていった。描いている間は不思議と目まいが起きず、黙々と続けた。

 3カ月ほどたった頃、近所の夫婦が「頑張って出ておいで」と、経営するレンタルスペースに誘ってくれた。以前なら自転車で5分で行けた場所だが、とても自転車には乗れない。出掛けては引き返す日々を繰り返しながら、徐々に距離を延ばし、ようやくたどり着いた。

 そこでの出会いで、再び介護士として働ける職場が見つかった。今は通院と服薬を続けながら、自転車に乗れ、電車で数駅の外出もできるようになった。

 「自分らしい形で、何かお返ししたい」と、レンタルスペースの宣伝文句を書いた作品を夫婦に贈呈。以来、お世話になった施設や好きな店舗に贈った数は77点に上る。誕生祝いなどで名前の漢字を書いた小作品も贈り始めた。

 15、16日に新長田の大正筋商店街である「クラフトマーチin新長田」では、初めて作品を販売する。名前の小作品(額入り)千円、ポストカード500円。