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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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長田で存在感増すベトナム人 各地で生まれる交流 2018/12/18

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 神戸市長田区を歩いていると、ベトナム料理店や寺院を目にする。区内の外国人住民数は、最多の韓国に次いでベトナムが多かったが、昨今、その増加は著しい。区内のベトナム国籍の登録者数は約1600人で、5年前の2倍近くという。新住民となった「お隣さん」に日本の文化を知ってもらおうと、長田の高校生や住民らの間に、交流の場を設ける動きが広がっている。

 「長田に住んでいるベトナムの人たちと、もっと接点がほしい」「日本の文化や習慣を伝えるイベントを企画してみては」-。

 県立兵庫高校(長田区寺池町1)では5年ほど前から、創造科学科の生徒たちが授業の一環で「多文化共生」をテーマにしたフィールドワークに取り組んでいる。

 生徒たちは「地域で外国人を見かけることは多いのに、日本人との交流がほとんどない」ことに気づき、長田区役所と連携した文化交流会を6月にふたば学舎(長田区二葉町7)で開催した。

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 参加した今井花さん(16)は「学校で日本語を学んでいるベトナムの子どもたちを軸に交流すれば、日本語が分からない親の世代の異文化理解につながるのでは」と考える。こうした経験を糧に、両国のお菓子を作る料理教室や、伝統的な遊びを楽しむ催しを年明けに開く予定だ。

 2年の小林大悟さん(17)も「高齢化が進む長田に活気を生み出せる力添えがしたい。言葉や文化の違いを受け入れて、地域ぐるみで交流ができれば、まちがにぎやかになると期待している」と力を込めた。

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 おにぎり、玉子焼き、ホウレン草のおひたし…。日本人やベトナム人の親子らが一緒に、日本特有の「OBENTO(お弁当)」作りを学ぶ講習会が長田で好評だ。

 食を通じた異文化交流を目指して、長田区社会福祉協議会が今冬から始めた事業。11月中旬、ふたば学舎であった講習会には日本や中国、ベトナム人の親子約30人が参加した。保育所の給食調理師に教えてもらい、見栄え良く盛り付けたお弁当をみんなで一緒に食べた。

 地域では、ベトナム人を中心に外国人親子が増えているが、弁当箱に食事を詰めて持参する文化がなく、児童館の放課後児童クラブなどに通う外国籍児童が家から持ってくる昼食の形はさまざまだという。

 「『お弁当を持ってきてね』と声を掛けても、ビニール袋におにぎりを入れて母親が持参したり、ピザを配達してもらったりだった」。10月末に第1回講習会を共催した真野児童館(同区東尻池町6)の武田茂館長(66)も約10年前の着任当時は、文化の違いに戸惑ったという。

 現在、同児童館を利用する子どもの3~4人に1人がベトナム人児童で、外国人親子に日本文化に親しんでもらい、コミュニケーションを深める必要性を感じている。「地域に多くの外国人が暮らし、もうお互いに知らないままではすまない。講習会が、仲良く暮らす共生社会の第一歩になれば」と話している。(久保田麻依子、段 貴則)