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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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たゆまぬ努力で消費者需要に対応 神戸・西区の専業農家 2019/11/21

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 港町・神戸のイメージが強すぎて、「神戸=農」を容易に想起できないが、農都・神戸を示すデータがある。近畿農政局の2017年農林水産統計によると、神戸市の農業産出額は158億4千万円と近畿管内の市町村別で第3位。人口100万人を超える政令指定都市の中ではトップに“君臨”する。産出額の6割超を支えるのは同市西区を中心とする野菜栽培だ。減農薬・減化学肥料の「こうべ旬菜」の一つキャベツの専業農家を訪ねた。(杉山雅崇)

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 菊菜やほうれん草、水菜を育てる「こうべ旬菜部会」の部会長再本正樹さん(48)の畑から西へ10キロ以上離れた西区岩岡町。一面に広がる畑で、丸々と育ったキャベツが収穫を待つ。キャベツ専業農家の藤原秀旨さん(44)の畑だ。元々は稲作などの田んぼだったが、父親の代からキャベツ畑になった。

 市のキャベツ産出額は3億6千万円(17年)と県内2位。藤原さんが世話をしている畑は6ヘクタールで、年間400トンを出荷している。

 春キャベツと異なり、7月に種をまき、夏をまたいで生育するこの時期のキャベツは、心配が絶えない。

 近年の酷暑が生育に悪影響を与えるためだ。昨今の高温は、苗が枯れたり、病害虫が発生したりする原因になる。

 藤原さんは1年を通して、キャベツが傷まないよう常に目を配る。たゆまぬ努力の末に収穫されたキャベツが出荷され、食卓に並ぶ。

 オススメの食べ方は「千切りのサラダ」。藤原さんは「切り方によっても味が全然違うんです。いろいろなシャキシャキ感を楽しめますよ」と太鼓判を押す。

 26歳で家業を継いでから、20年近くが経過した。高齢化などに伴い、周囲の生産者は年を追うごとに減っている。藤原さんは、時代に即した持続可能な農業を模索し続ける。

 「地元で採れた野菜を、もっと多くの人に売りたい。店舗までの距離が近いという強みを生かして、消費者の需要に応えたい」と藤原さん。「こうべ旬菜」を世に送り出す400人の農家の思いを、代弁しているように思えた。