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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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芋掘り一筋半世紀 食育の先駆け小束野農園 神戸・西区 2019/11/28

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農園で飼育されているシカ

 神戸市内に10カ所ある芋掘り農園のうち、6カ所が同市西区にある。中でも半世紀の歴史を持つ小束野農園(神出町小束野)は、約6600平方メートル、畳4千枚分の広さを誇り、シーズン中、約1万人が訪れる。農園を営むのは、神出開拓農業協同組合長も務める香月誠さん(61)。父親の代に米から芋の生産に転じたという。

 時代は高度経済成長期。団地住まいのサラリーマン家庭が増え、子どもたちが土に触れる機会が減っていった。「芋の生え方さえも知らない子どもたちに自然や食について学んでほしい。それが父親の願いでした。今で言う食育の先駆けですかね」と香月さんは笑う。しかし、「開園当初は知名度も低く、1シーズンに4、5人しか来なかったようです」と話す。

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芋掘り農園を営む香月さん夫妻=小束野農園

 食育や情操教育の流れに加え、市観光園芸協会による広報効果もあり、平日は小学校や幼稚園の団体客、休日は親子連れなどからの依頼が増えるようになった。最近は訪日外国人観光客やデイサービス利用者など、客層の広がりを見せる。

 香月さんは、芋掘りだけでマンネリ化しないようにと、なじみの乗馬クラブからポニーをもらい、畑で飼い始めた。するとたちまち子どもたちの人気者に。シカやミニブタなども加わり現在4匹を飼育している。ほかにも、焼き芋やサツマイモスティックなど、その場で芋を味わえる工夫も始めた。

 「みんなが喜ぶことをどんどん取り入れたらこうなった。毎年来ても飽きない場所にしたい」。香月さんの挑戦は続く。

 3株700円。開園期間は9月中旬から芋がなくなるまで(今年は終了)。(喜田美咲)