People People

M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

Kobe
People People People

小麦は北海道産、塩はドイツアルプス産 天然酵母にこだわったパン店「野の舎」 2019/12/06

記事

天然酵母にこだわる「野の舎」=神戸市西区井吹台北町2

 酵母の発酵に4日間。さらに生地に練り込み半日から1日発酵させる。天然酵母にこだわった「野の舎」(神戸市西区井吹台北町)のパンは、下地作りに約5日間かけて生まれる。代表の野田慎吾さん(39)は「ゆっくりと時間をかけて焼き上げた、ちょっと贅沢でリーズナブルなブレッドを味わってほしい」とPRする。

記事

焼き上がったパンを移す野田慎吾さん=野の舎

 西神南の閑静な住宅街にたたずむひときわおしゃれな建物。店先には野田さんがこだわる北海道産100%小麦「春よ恋」などが置かれている。塩はドイツアルプス産岩塩から作られた「アルペンザルツ」。「パンのおいしさは粉・水・塩と酵母で決まる。うちはすべてにこだわっている」

 19歳の時、この世界に飛び込んだ。パン職人ではなく配達人として。ある時、取引先から「このパンどうやって作るの?」と問われた。知識も技術もなく、答えられない自分に歯がゆさを感じた。作り手への転身を志願し、職人の道を歩み出した。

 10年以上かけ、市内外のパン屋を渡り歩き、腕を磨いた。自分の舌で「おいしい」と感じたら、迷わずにその店の門をたたいた。「毎日食べておいしい」「子どもたちの夢を守り、がっかりさせないパンを作りたい」。修行を重ね、ようやく自分のパンが作れると確信した野田さんは、5年前に野の舎をオープンさせた。外はサクッ、中はしっとりの食感が際立つ約100種類が店内に並ぶ。

 地域に愛されるもう一つの理由は「糖質控えめで」「歯応えを重視してほしい」「人気キャラクターのパンを作って」など、顧客のリクエストに応じるところだ。野田さんが気まぐれや研究で創り出す新しいパンに出合えることも。

 イチオシは「野のブレッド(食パン)」「クロワッサン」「クリームパン」。定番だが、熟練された技で焼き上げる逸品はまさに「毎日食べてもあきない味わい」だ。(千葉翔大)