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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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歩行のデータ蓄積「健康」支える アシックス・スポーツ工学研究所 2019/12/11

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さまざまな観点から歩行姿勢を測定するシステム=アシックススポーツ工学研究所

 最先端の技術を取り入れ、世界で活躍する選手たちの製品開発を続けるアシックススポーツ工学研究所(神戸市西区高塚台6)。前回は、アスリートを支える研究成果の一端を見せてもらった。しかし、同社が注力するのはそれだけではない。運動をしていない人たちに対しても、健康的な生活を長く続けてもらうための取り組みに力を入れている。

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新素材開発や生産技術向上などのための研究を行う化学分析室=アシックススポーツ工学研究所(アシックス提供)

 研究所が現在の場所に完成したのは1990年。2015年には新たな研究棟を設けた。取り組みの中身は-。

 人間の体の形や動きを徹底的にデータ化し、人々が快適に動ける(生活できる)サービスをいかに提供するかというもの。例えば、性別や年齢、スポーツ経験、国の違いで、足や体の形、動作はどう違うのか-。日々蓄積されるデータを基に研究することこそがあらゆる製品やサービス開発の出発点になるという。

 研究の幅は広がっているが、同研究所技術戦略チームマネジャーの森洋人さんは言う。「さまざまな分野の研究員がいますが、使う人を中心に据えてものづくりをするという基本姿勢は創業時から変わりません」

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ラグビーワールドカップでも活躍した南アフリカ代表(右)とオーストラリア代表のウエア=アシックススポーツ工学研究所

  

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 その一環として開発したのが、人間の基本的な動きである歩行の姿勢を測定するシステムだ。

 「『歩行』に関するさまざまなデータが出ます。健康的に歩くためのトレーニングも分かりますよ」

 センサーに向かって数メートル手前から歩くだけで、速度や歩幅、足の上がり角度など36項目を瞬時に測定し、接続されたパソコンの画面に「歩行年齢」などのデータが出る。利用者は結果を基に、健康的な歩き方を練習することができる。

 既に同社が運営するデイケア施設や企業の体力診断で活用されているという。まさに、研究所の知見が、人々の健康を支えるために生かされた結果だ。

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テニスのノバク・ジョコビッチ選手の実物シューズ=アシックススポーツ工学研究所

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 トップ選手の動きを分析する設備から、基礎的な体力や体形を測る装置、専門性を持った研究室まで、この地には世界最先端の“頭脳”が凝縮されている。そして、その頭脳はスポーツだけでなく「人間の健康維持」へも生かされている。

 「われわれは誰よりもスポーツをする人たちの体や動きを見てきたという自負があります」。こう話す森さんは続けた。「今後はそのノウハウを生かし、幼児から高齢者、障害のある方まで幅広い人に寄り添ったサービスをよりいっそう提供していきたい」。(安福直剛)