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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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「流科大版マネーの虎」学生が起業家に 校内にカフェ出店 2019/12/27

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 起業。今風に言えばベンチャー。「自分の会社を立ち上げたい」と誰しも人生のどこかで考えるかもしれないが、出資者の心を射止め、起業への第1歩を踏み出すのはそう簡単なことではない。理事長兼学長自らが教壇に立ち、学生の起業や家業の継承を目指すプログラムが、流通科学大学(神戸市西区学園西町)にあると聞き、取材に向かった。その名も「流科大版マネーの虎」。(千葉翔大)

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 ■プレゼンが勝負

 「オーダーメードのコーヒーを提供するカフェを開きたい」。昨年11月、同大で行われた「流科大版マネーの虎」のプレゼンテーション。ITやコンサルタント会社の社長ら、ビジネスの最前線で働く約10人の審査員(出資者)を前に、人間社会学部3年の丸山いつ季さん(20)は、自身が考えるお店のコンセプトや事業計画などを提案した。

 「お客さんには『さわやか』『マイルド』など、味のイメージをいくつかの言葉の中から選んでもらい、酸味の強さやコクの量を指定してもらう」

 さらに、「店員がその場で客のオーダーに近い豆を選び、ドリップした好みの1杯を届けることができる」。審査員の反応をうかがいながら、丸山さんの説明は徐々に熱を帯びていく。

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 ■資金獲得はわずか2人

 「起業・ベンチャー型事業承継者育成プログラム」。2000年代に人気を博したテレビ番組「マネーの虎」を「学内でもやってみよう!」と4年前から中内潤理事長兼学長の肝いりで始まった。有望な事業者(学生)には、経営者らから投資を受ける仕組みも用意され、毎年5、11月に経営者らを前にプレゼンが行われる。

 半期ごとに週1回の講義があり、学生たちは、経営者らから、起業をするにあたって求められる多様な視点や思考の手法を学ぶ。これまで約40人の学生がプレゼンに挑んだが、資金獲得に成功したのはわずか2人だけだ。

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 ■校内に初出店

 丸山さんは大学入学後、コーヒーチェーン店でアルバイトを始めた。店舗を運営する会社主催のバリスタコンテストに出場するため、豆の選び方や独自の風味を勉強し、コーヒーの奥深さに魅了されていった。

 「将来は自分のカフェを持ちたい」と、同プロジェクトに手を上げ、プレゼンに向け準備を重ねた。また、自宅の一角をカフェに改装するなどして、店舗のコンセプトも突き詰めた。

 昨年11月のプレゼンで、丸山さんの行動力や実現性が評価され、資金の獲得に成功。審査員からは「初めてカフェに行きたいと思った」との声も上がった。

 わずか2人のうちの1人になった丸山さんは、獲得資金で「カップ・オブ・トーク・コーヒー」を設立。反応を探る意味でも「まずは身近な場所で」と4月、同大の校内に念願の初出店を果たした。

 「卒業後は神戸・三宮周辺に出店を計画している」

 次のステップに向け、戦略を練る。