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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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天国に続く階段、馬の背越え絶景へ 須磨アルプス踏破に挑戦 2019/05/27

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 急勾配の階段を下ると眼前に高倉台団地(神戸市須磨区)のマンション群が目に飛び込んできた。高倉台にはかつて標高291メートルの高倉山があった。昭和30年代から進められた神戸市の「山、海へ行く」の宅地開発で削られ、ニュータウンが造られた。

 全てを切り開く予定だったが、低くなった山から風が吹き下ろし、地域の気象が変化すると地元市民らが反対。200メートルまで削られたところで山は守られた。

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 おらが守った山-。その思いから、住民らはこの山を「おらが山」と呼ぶようになったという。高倉台を歩いて栂尾山へ。麓に着くと、直角に近い階段がお目見えした。

 「天国に続く階段」。そう呼ぶ人もいるらしい。約400段あり、上を見ると足取りが重くなる。休むと二度と立ち上がれないと思い、一気に駆け上がった。息が上がり、脇腹と太ももがつりそうになる。苦行を終え振り返ると、誇らしそうなおらが山が見えた。栂尾山山頂(標高274メートル)で汗をぬぐい、しばし吹き上げてくる風に吹かれる。

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 「よく登るんですか?」

 兵庫県伊丹市から来た男性(76)ら5人のグループに話し掛けられた。木々の中を一緒に歩きながら、横尾山を目指す。アップダウンが続き、思わず「家に帰りたい」とぽつり。しばらくして誰かが叫んだ。

 「あ! 馬の背や」

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 目の前には荒々しい岩肌が広がっていた。両サイドは崖で、踏み外せば真っ逆さま。砂地のため滑りやすく、取り付けられた鎖を頼りに下り、両手で岩をつかみながら慎重に登る。北側に見える家々の屋根は色鮮やかで美しく、「宝石箱をひっくり返したみたいやな」。非日常の絶景を味わいつつ、行き交う車や家々を見て、人の暮らしを感じられるのが、コースの最大の魅力だ。

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 東山から神戸市営地下鉄板宿駅へ。目標の4時間は難しかったが、約5時間でゴール。男性らはこの後、ビールで喉を潤すという。「都会に近く、自然豊か。ビールがおいしく飲める距離が一番ええね」と笑顔の一行と別れた。

 脚はパンパンで、前へ踏み出すのもつらい。帰社して須磨アルプス踏破の報告をデスクにすると「次なる目標は六甲全山縦走やな」とニンマリ。「次なんて考えられない。少し寝させて!」。心の中でそうつぶやいた。(津田和納)