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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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職人の気概感じる曲線建築 北須磨小の円形校舎 2019/06/24

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 「みどりの丘にくっきりと 白くそびえるまなびやは これがわたしの北須磨校♪」。北須磨小学校(神戸市須磨区離宮西町2)の校歌にはこんな一節がある。この「まなびや」とは、円柱形の校舎「円形校舎」のことで、半世紀以上にわたり学校のシンボルとして親しまれてきた。でも、円形校舎ってどんなものだろう。訪ねてみた。(津田和納)

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 円形校舎は1950年代後半に流行し、この時期に全国で約80棟が建てられたという。神戸市教育委員会によると、市内では55年に美野丘小(灘区)、58年に北須磨小(須磨区)、ほかにも東山小(兵庫区)や布引中(中央区)と相次いで建設されたが、現在も残っているのは美野丘と北須磨の2校のみだそうだ。

 北須磨小の円形校舎は3階建て。現在は1、5、6年生が教室として使用するほか、音楽室や図工室、図書室もある。

 校舎に入ると、らせん階段と、円を描く廊下が目に飛び込んでくる。中央にある階段は上りの一方通行で、児童らがぐるぐる回りながら上っていく。階段を中心に配置された教室は扇形で、「黒板は小さいけれど、児童の目線が集まりやすい」と寄川真宏校長(58)は言う。一方で「奥行きがないため机の配置が難しい」「窓が教室の片側にしかなく風通しが悪い」といった欠点も。

 「ドーナツ型の屋上で卒業式をしましたよ」と話すのは、同校の1期生で建築家の設楽貞樹さん(70)=東灘区。同窓会で数十年ぶりに母校を訪れた際、50年以上たっても、らせん階段の裏側にひび割れが一つもないことや、デザイン性に心打たれたという。「建築家の視点で見ると、階段の曲面のなめらかさや、採光の取り方など、センスの高さを感じる。気概を持った職人が本物の仕事をした証し」と話す。

 屋上からは南に瀬戸内海の絶景を望め、北にある緑あふれる裏山からは自然のエネルギーを感じられる。寄川校長も「児童も卒業生も愛着のある場所。地域住民にも親しまれ、学校を支える力になっている」と誇らしげだ。

 ちなみに、校歌の3番はこう結ばれる。

 「はるかにかすむ淡路島 ゆかりも古い須磨の浦 行きかう船を見おろして 強く正しく美しく 進もうみんなの北須磨校」

 築61年。数多くの卒業生を見送ってきた校舎は、今日も子どもたちの“丸い心”を育んでいる。