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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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菓子で人生を豊かに パティシエの西川健司さん 神戸・須磨 2019/07/23

記事

デイサービス施設の中でケーキ店を営む西川健司さん=須磨区車

 「今日はクロワッサンある?」「食パンは?」と運動着姿の高齢者が口々に訪ねる。ここは福祉施設「KOBE須磨きらくえん(神戸市須磨区)」の近隣にあるデイサービス施設「げんき須磨」。パティシエの西川健司さん(34)が、「パンもケーキもあります。安心して運動してきてください」とほほ笑む。

 西川さんが営むケーキ店「the CAKE lab.(ザ ケーキ ラボ)」は同施設の入り口にある。高齢者らは隣接するスペースで体を鍛え、お目当ての品を買って帰る。みんな笑顔だ。でも、なぜこんなところに店が?

 「誰もが気軽に、何度でも施設を訪れるようになるきっかけづくりです」と西川さん。兵庫県加古川市出身で、幼い頃からお菓子作りが大好き。大阪の専門学校に進学した後、ケーキ店で修業を積んだ。須磨区で兄と共にカフェレストランを営む傍ら、自身のブランドを立ち上げ、百貨店の催事などに出品してきた。

 30代に入り、「菓子で人生を豊かにしたい」と思うように。きらくえんの運営側から、施設内への出店を依頼されたのは3年前。「ここは、いずれ福祉のまちの拠点になる。食の文化を発信するために来てほしい」と言われ心を決めた。

 現在は施設の入居者に楽しみを持ってもらおうと、食後のデザートも手掛ける。人気は、目の前で焼くみたらし団子。「匂いや、柔らかな食感まで目を細めて楽しんでくれる」と話す。

 低糖スイーツの開発や焼きたてパンの販売など、幅広く挑戦を続ける。「これから、地域の食文化をよみがえらせる仕掛けを考えたい」と意気込む。同店TEL078・743・0015

(津田和納)