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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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板宿の市場で「はじめてのおつかい」 女性運営するレンタルスペース 2019/07/28

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ママたちのレンタルスペースを運営する「板宿ママン」の伊藤尚子さん。2階では英語教室などもある=須磨区飛松町2

 青果店や飲食店が並ぶ板宿南部市場(神戸市須磨区飛松町2)に、ひときわにぎやかな看板が掲げられたレンタルスペースがある。運営するのは、同区で生まれ育ち、2男1女を子育て中の伊藤尚子さん(39)。市場一帯は高齢世代の買い物客が多い中、親子向けのイベントを催したり、子どもたちの「はじめてのおつかい」をプロデュースしたりと、まちに小さな“変革”をもたらしている。(久保田麻依子)

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かまぼこ店におつかいにきた子どもたち(伊藤さん提供)

 小上がりのスペースや、委託販売で並んだかわいらしい雑貨の数々。レンタルスペース「板宿ママン」の壁には、キッズイベントやママ向けのエステを案内するちらしが並ぶ。「英語や料理教室、ヨガ教室もありますよ」と伊藤さんが案内してくれた。

 保育士の伊藤さんは2人目を出産後、フルタイム勤務で仕事復帰した。しかし育児との両立が難しく、退職後は親子がくつろげる居場所づくりを目指して、ヨガ教室を開いた。

 固定の拠点が見つからずに悩んでいたところ、縁あって西部市場でかまぼこ店を営む板宿連合市場西部会長の黒田浩之さん(45)と知り合い、空き店舗の利用を快諾してもらった。

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「はじめてのおつかい」で青果店で買い物をする子どもたち(伊藤さん提供)

 2015年8月に「板宿ママン」をオープン。目玉のイベントとして立ち上げたのが、板宿版「はじめてのおつかい」だ。スペース周辺の約25店舗の協力を得て、子どもだけで買い物に挑戦する。人通りが多くないことを逆手にとったアイデアだ。長期休みに合わせて定期的に募集し、これまで150組以上を受け入れてきた。

 1歳の弟妹の手を引いて懸命にお店を探す子や、途中で寂しくなって店主に連れてこられる子…。専属のカメラマン以外付き添いはないが、伊藤さんは「車の通りもないので、子どもだけでも安心。心もとなげに歩く子どもを見掛けると、お店の人たちが自然と声を掛けてくれるんですよ」と感謝する。黒田さんは「高齢化の波が押し寄せている市場に、ベビーカー姿の親子がいると場が明るくなる。板宿ママンができてまちが変わった」と話す。

 市場の再開発で今年4月に、西部市場から南部市場に移転した。普段はママ会のほか、ママたちの提案で生まれたミニ講座やイベントでにぎわう。今の目標は、子どもたちで作り上げるファッションショーの開催だ。

 伊藤さんは「親が楽しい時間を過ごすと子育てのストレスが減り、子どもの健やかな成長にもつながる。地域の人を巻き込みながら、まちで子育てができるしくみをつくっていきたい」と語った。

 板宿ママンは午前10時~午後5時。木、日、祝日定休。