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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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震災乗り越え親子3代で紡ぐ歴史 神戸新聞名谷北専売所 2019/07/12

記事

 本紙名谷北専売所(神戸市須磨区北落合3)は祖父、父親、現所長の松嶋祥さん(38)と3代続く新聞一家だ。

 祖父の一男さん(故人)が若宮専売所(同区若宮町)所長になったのは約50年前。1982年には父親の一孝さん(68)が名谷北専売所長を任された。須磨の北と南の要。経営は順調だった。あの日までは…。

 95年1月17日、阪神・淡路大震災の大きな揺れは容赦なく襲いかかった。若宮専売所の建物は全壊。朝食を食べていた一男さん夫妻に向かって家具と冷蔵庫が倒れてきた。双方が「へ」の字に重なり、奇跡的にほぼ無傷で救出された。翌日から配達可能な家や避難所に新聞を配ったが、店が受けたダメージは大きく、翌年、専売所を閉鎖した。

 幸い一孝さんの店は被害を免れた。以降、母親の信子さん(68)と二人三脚で店を切り盛りしてきた。松嶋所長がサラリーマンを辞め、店を継ぐ決心をしたのは11年前。子どものころから年中休みなく働く両親の背中を見ていたこともあり「本心は定時で終えて給料がもらえる仕事につきたかった」と苦笑する。4年間、別の店舗で修業を重ね、5年前に所長に就任した。

 15人中10人が勤務歴20年以上の配達員。「私も父も、このベテランさんらに支えられてきた」と松嶋所長。「誤配や配達漏れがないよう徹底するなど、これまで以上に誠意を尽くし、両親が大切にしてきた読者を守っていきたい」と力を込めた。(千葉翔大)