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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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伝統の盆踊り「塩屋音頭」復活 若い世代への継承へ 2018/08/24

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塩屋音頭の継承に取り組む北川保幸さん=神戸市垂水区塩屋町4

 太鼓やお囃子のリズムに合わせ、櫓の周りで踊り手たちがゆったりと踊る。神戸市垂水区塩屋では毎年8月24、25日、地元の公園で「塩屋音頭」と呼ばれる盆踊りが催される。300年近い歴史を持ち、一時は途絶えた祭りの復活を支えたのが、塩屋音頭保存会で踊り手を務める北川保幸さん(74)=同区=だ。

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本番に向け、北川さんの指導を受けて練習する参加者ら(撮影・吉田みなみ)=神戸市垂水区塩屋町4

 かつて「播磨の東のはじまり」と呼ばれていた塩屋地区。塩屋音頭は、その播磨国にあった美嚢郡吉川町(現・三木市)の「吉川音頭」を源流に持ち、江戸時代の中期に伝えられたとされる。当時は盆の8月14日から15日にかけ、夜通し踊られたという。

 北川さんは塩屋で生まれ育ち、幼いころから塩屋音頭に親しんだ。娯楽が少ない時代の楽しみの一つだったといい、「盆踊りの2日目にある仮装大会が大にぎわいだった」と振り返る。

 しかし、戦後になると、祭りの担い手だった青年会が解散。盆踊りも中断したが、1978年ごろ、地元の西村五一さん(故人)を中心に約10人で「塩屋音頭保存会」を設立した。

 北川さんも踊り手として立ち上げから関わり、地元の長老に話を聞いたり、吉川音頭の見学をしたりして研究した。「正確な記録がほとんどなく、残っていたテープも雑音が多かった。手探りの状態から形にできた達成感があった」。1曲が40~60分とやや長いが、ここ数年は若い世代にも親しんでもらおうと、音頭を現代風にアレンジしたり、本番前に講習会を開いたりしている。

 塩屋中央自治会長を27年務める北川さん。最近は塩屋の歴史をパンフレットにまとめるなどして、塩屋音頭の継承に向けて積極的にPRする。「塩屋音頭は地域の結びつきを大切にする象徴。地元の子どもたちにも踊ってもらえるように伝え続けたい」。本番に向けて、力をみなぎらせた。(久保田麻依子)