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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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イベント稼働率100% 旧グッゲンハイム邸の魅力 2018/08/31

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旧グッゲンハイム邸で開かれた流しそうめんのイベント(旧グッゲンハイム邸提供)

 神戸市垂水区塩屋町3の洋館「旧グッゲンハイム邸(旧グ邸)」のすごさはその稼働率にある。音楽ライブに映画上映、ヨガ教室や結婚式、そうめん流しなど、この1年のイベント開催数は約750にも上る。休館日(火、水曜日、年末年始など)以外は予約で埋まり、稼働率は何と100%。市内外はもとより、海外からの使用申し込みもあるという。旧グ邸が好きすぎて、敷地内にあるシェアハウスに引っ越してくる若者も。何が若者をそこまで魅了するのか。(真鍋 愛、西竹唯太朗)

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アーティストのトークイベント(旧グッゲンハイム邸提供)

 今月26日に開かれたカレーなどを食べながら音楽ライブを楽しむイベント。100人以上の参加者が食事や音楽はもとより、館内の一室で休憩したり、テラスから明石海峡を眺めたりと、思い思いの時間を過ごしていた。

 出演者にとっても旧グ邸での演奏は「特別」。出演したHara Kazutoshiさん(37)は「昨年初めて訪れた時は、建物に感動して写真を撮りまくった。こんなに景色がいい洋館でライブができるなんて、ほかではない」と話す。

 イベントを主催した同町の「ワンダカレー店」店長松田俊宏さん(37)は「主催者・出演者と来場者の距離が近いことも、魅力の一つ」と分析する。確かにメイン会場の1階の収容人数は約100人。ステージと最前列の観客の距離は1メートルもない。また、「来場者の数がちょうどいいので、音楽と食事をゆったりと楽しめ、まるでホームパーティーのような感覚になる」と松田さんは続ける。

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 貸し手側の思いは?

 「『おもしろいやん』と思えば、どんな企画でもまずは相談を受ける」と管理人の森本アリさん(44)。旧グ邸には森本さんをはじめ、5人の共同管理人がおり、イチ押しイベントには、積極的に協力する。今月18日に開催された映画上映と庭先での出店を併せたイベントでは、熱中症を危惧した主催側の思いに応えようと、2階と庭先の木を農業用ネット5枚でつなぎ日陰を作った。森本さんは「主催者に『融通が利く』と言われるとうれしい」と笑う。

 明石海峡を臨む眺望▽クラシックで開放的な建物▽出演者・主催者と参加者の距離間▽貸し手の柔軟性-。いくつもの「観(み)力」「美(み)力」が活力を生み、塩屋を進化させている。

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 旧グ邸の裏にある別棟は、若者向けのシェアハウスになっている。通称「長屋」。洋館の前所有者が経営する会社の寮として使われていた建物だ。今は音楽家などのアーティストから公務員まで、世代も職業も違う9人が暮らしている。

 8畳一間、洗面所や台所は共有。ここを巣立った若者の中には塩屋に定住し、お店を開くなど、まち起こしの仕掛け人として活躍する人もいる。