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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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コロッケ、ケーキ…読者の「忘れられない味」追跡 神戸・塩屋 2018/08/27

 「垂水マンスリー 南北彩々」では、現在、神戸市垂水区塩屋エリアを特集中です。紙面や神戸新聞NEXTなどで募集した「読者のイチオシスポット」に、たくさんの投稿が届きました。その中から「忘れられない味」として同区内の女性から寄せられた塩屋駅前の総菜店と洋菓子店を取材しました。(真鍋 愛)

■読者からお便り

 2歳から結婚するまで塩屋に住んでいました。塩屋駅前の商店街を抜けたところにあるコープこうべ近くの揚げ物屋さんのコロッケと、その路地を入ったとろこにあるケーキ屋さんの「ボストン」というケーキが忘れられない味です。

 高校生の時、部活帰りにお腹がすいて我慢できなくて、よく友達とコロッケを1個ずつ買って、食べながら歩いて帰っていました。

 働き出してからは、給料日には毎回、ケーキを買って帰っていました。その頃、まだ給料は現金の手渡しでしたので、ケーキを買うのも楽しみの一つでした。中でも「ボストン」は家族の中でも一番人気でした。今も食べたいとは思うのですが、なかなか実現できず、お店があるのかどうかも定かではありません。

■不動の人気商品 ミツワヤのコロッケ

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 JR塩屋駅から緩やかな坂を上ること約5分。総菜店「ミツワヤ」(垂水区塩屋町3)を見つけた。黄金色をした小判形のコロッケは、小腹を満たすのにちょうどいいサイズ。夕暮れ時、帰宅する学生が空腹に耐えかねて同店に立ち寄る光景は今も昔も変わらない。

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 具材はジャガイモ、牛ミンチ、タマネギの3種類。1978年の開店以来40年間、レシピはそのままだという。店主の大橋達夫さん(69)と妻の加代子さん(70)が、毎朝8時から手作りしている。

 店先でコロッケを頰張った。衣は薄く、ジャガイモはなめらか。「クリーミーですね」と声を掛けると、「もう少ししたら北海道産のジャガイモに切り変わるので、ほくほくのコロッケになりますよ」と達夫さんは笑顔を見せた。

 ミツワヤTEL078・751・0087。日曜定休。

■2代目店主に受け継がれた味 ペリーヌの「ボストン」

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 「ペリーヌさんですか? そちらに『ボストン』というケーキがあると伺ったのですが」

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 「すみません、もう店頭には出してないんですよ」

 総菜店「ミツワヤ」から路地を入って徒歩30秒。洋菓子店「ペリーヌ」(垂水区塩屋町3)の2代目店主三輪貴志さん(47)がすまなさそうに答えてくれた。聞けば、10年ほど前から通常販売を終了したという。

 諦めかけた私に、三輪さんは「お問い合わせいただいた方には、ホールサイズだけですが、作っていますよ」。「ぜひ」と即答し、後日同店でボストンを受け取った。表面は生クリームで模様が描かれ、底のパイ生地との間には甘さ控えめのカスタードクリームが挟まれている。

 投稿者の同区の女性のエピソードを伝えると、三輪さんの父親で初代店長の益行さん(77)は「うれしいですね」と目を細めた。ペリーヌTEL078・753・5872。木曜定休。