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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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採算度外視でみんなを応援 「舞子いっぽかふぇ foo」オーナー平山さん 2018/09/21

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「ギターを持っていないと安心できない」というオーナーの平山慎二さん=神戸市垂水区舞子台8

 閑静な住宅街が広がる神戸市垂水区の上高丸、星が丘、五色山、舞子など区南西部エリアを特集。坂を上り、振り返ると、明石海峡の大パノラマが広がる。かと思えば、県内最大の前方後円墳や縄文時代の遺跡など歴史的遺産がまち並みにとけ込む。さわやかな海風を浴びながらこのまちを歩く。そこで出合ったおしゃれで、粋で、気さくなお店、風景、観光施設などを「舞子物語」と題して5回に分け、お届けする。(坂山真里緒)

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ドアに書かれた店名が何とも心穏やかになる=神戸市垂水区舞子台8

 垂水区舞子台8に2015年、オープンしたレンタルスペース+cafe「舞子いっぽかふぇ foo」。オーナーの平山慎二さん(44)の異色の経歴やカフェ経営に乗り出した思いに心動かされ、立ち寄った。

 「サイモン&ガーファンクル」をこよなく愛し、ギターを手に作曲を始めたのが16歳。絵が好きということで芸大に入学したものの、幸か不幸か周りには音楽好きが多く、結局はバンド活動に興じてしまった。

 結婚を機に会社員として再スタートを切るも、気が付けばまた音楽の道に。現在は活動休止中だが、会社の後輩と「インドもやし」なる音楽ユニットも組んだ。そんな中、「招く側になれないか」と、貸しスペースも兼ねたカフェを考えるように。「自分も経営者としては第一歩。みんなのはじめの一歩を応援したい」

 貸しスペースとしては、子どもの料理教室、子育てママの集い、音楽ライブ、ギター教室、電子オルガンの発表会…と、何をも、誰をも受け入れる。以前はクリーニング店だった天井の高い店内には、音響設備も完備。イベントによって店内のレイアウトも自在だ。「怪しいハーブ作りとか、爆音を出すグループとか、そんなん以外は何でもOK」と平山さん。「採算とれてます?」。思わず聞いてみると、「経営者の先輩らに怒られてます」と笑う。

 2カ月に一度、カフェ主催の「オープンマイクデー」を開く。誰でも参加できるが、主たる目的は平山さんがギターを教える子どもたちの発表の場。受講料を取らない代わりに、出演を課したのだ。「1年半通った子が、最後のマイクデーで弾き語りができた。厨房でうれし泣きですよ」。どこまでも“熱男”だ。

 カフェ業の方も侮るなかれ、コーヒーにもこだわり、コーヒーコーディネーターの資格を有する力の入れよう。「何にでも真っすぐ向かう性格なんです。冷めるのも一瞬ですが…」

 最近は自身の音楽活動も波に乗る。4月、人生の大きな転機を迎えたことで湯水のようにアイデアが湧き、新曲が10曲以上完成した。11月にはCDをリリースするという。「幸せな時は満たされているので、いい曲は書けないんです」。ということは? 詮索するのはやめておこう。

 兵庫区出身。垂水には07年に移住した。「リズムがゆっくりで何でも許してくれる不思議な場所」と評する。離れる気持ちはない。

 午後2時~午後7時(月・火・金)、午前10時~午後6時(木)、正午~午後5時(土・日)。定休日は水曜、祝日。TEL080・6172・9389